リフォームの坪単価は、相場を決める数字ではなく、費用感をつかむための目安です。同じ広さでも工事内容や条件によって金額は大きく変わるため、坪単価だけを見て判断するのは、想定していた費用と違うことになるリスクが高いです。
この記事では、リフォームの坪単価の考え方となぜ金額に幅が出るのか、どう使えばよいのかを整理します。本記事では、坪単価と見積もりの正しい使い分けを解説します。

坪単価は「いくらで工事できるか」を決める数字ではなく、
おおよその費用感が想定と大きくズレていないかを確認するための目安です。
目次
リフォーム費用の目安を知りたいときに坪単価が役立つ理由

坪単価はリフォーム費用を面積で割った目安です。どの面積を基準に算出しているかによって数値は変わるため、同じ工事費でも坪単価の印象が異なることがあります。工事規模に対する費用感をつかむのに役立つ指標です。
部分リフォームでは、実際に工事したキッチンや浴室などの範囲の床面積だけで割る「工事対象面積の坪単価」が使われる場合が多くあります。この場合、坪面積が小さくなりやすいため、同じ工事費でも坪単価は高く出やすく、延床面積の坪単価より割高に感じる傾向があります。
また、坪単価は、仮設費・諸経費を含むか含まないかによっても費用が変わります。比較するときは、どの面積で割っているか、仮設・諸経費を含んでいるかをあわせて確認することにより、初期段階でも判断のズレを減らすことが可能です。
この記事では、延床面積を基準にした坪単価を中心に解説していきます。

坪単価は、見積もりを取る前の段階で、
計画している内容と予算感が現実的かどうかを見通すために役立ちます。
坪単価が面積を基準にリフォーム全体の費用感をつかみやすい
坪単価は、リフォーム費用を面積で割って把握する参考になる目安です。面積と金額を結びつけて考えられるため、工事規模に対する費用感を想像しやすく、計画の初期段階でも現実的かどうかを見通しやすくなります。
一般的には、延床面積と総額から坪単価を算出し、広さを基準にこの位は見ておきたい、という仮の予算ラインを知る際によく使用されます。また、検討している工事内容を優先度ごとに整理しやすくなり、条件次第で坪単価の差を仕様・グレードの差として読むことも可能です。
フルリフォームの場合、工事範囲と延床面積はイコールなので、坪単価で全体の費用感をつかみやすくなります。ただし、面積の前提や諸経費次第では、同じ坪単価でも割安・割高の判断が変わる点には注意が必要です。
一方、部分リフォームでは、工事面積が小さい分だけ坪単価が割高に見えがちです。そのため、坪単価は同条件での比較にとどめ、最終的には工事ごとの総額で判断するのが現実的です。
このように、坪単価は結論を出すためではなく、費用感を整理するためのガイドラインとして役立ちます。

工事面積が小さい分、坪単価が高く見えることがあります。
必ずしも工事内容が割高とは限りません。
リフォームは同じ広さでも工事内容次第で費用が変わることも
リフォーム費用のおおよその目安になりますが、工事の中身によって費用には大きな幅が生じます。
戸建てのフルリフォームでは、坪単価は約10~70万円台とされ、総費用に換算すると約400~2,500万円までの幅があります。なぜなら、工事内容や建築年数に左右されるためです。
例えば、間取りや水回りに手を入れる場合と、内装だけで済ませる場合では、想定される費用が変わってきます。窓まわりや水回りの変更では、坪単価約40~80万円が一つの目安となる一方で、後者は総額で100万円に収まる場合も見受けられます。
同じ広さでも前提条件が違えば、坪単価や総費用の目安は変動します。
坪単価は固定ではなく、変動する前提で考える

リフォーム費用を考えるうえで、坪単価のブレを抑えることは欠かせません。そのためには、どこまで直すのか、どこから先は計画に含めないのかの線引きをあらかじめ決めておくことが大切です。
面積が同じでも、壁紙や床を整えて終わりか、キッチンや浴室まで手をいれるのか、さらには下地や内部構造を含めるのかによって、必要な工程や手順も大きく変わります。
特に構造に関わる工事にまで広げると、現場での調整が増え、費用感にも影響が出やすくなります。
ここからは、リフォームの範囲別に工事内容を段階ごとに整理していきます。
どこまでリフォームするかが坪単価の分かれ目
坪単価は広さを示すだけではなく、どこまで手を入れたかという工事の深さを表す指標です。同じ面積でも、工事範囲によって中身は大きく変わります。
坪単価ごとのリフォーム内容の一例を紹介します。

坪単価は、広さそのものよりも、
どの範囲まで工事を行うかによって意味合いが変わります。
①坪単価10~20万円前後|内装の表層のみを整えるリフォーム
▶壁紙・床材の張り替え
▶室内全体のクリーニング
▶一部の建具交換
築年数が浅く、設備や構造に目立った劣化がない住宅で選ばれやすい選択肢です。坪単価は抑えられますが、キッチンや浴室などの水回り、外装、設備更新は含まれない点には注意が必要です。
②坪単価20~40万円前後|水回りを含めた一般的なリフォーム
▶キッチン・浴室・トイレなどの交換
▶内装の更新
▶一部の間取り調整
築10~20年ほどの住宅で、設備の耐用年数に合わせて選ばれることが多いリフォームです。外壁や屋根を含めるかで総額は変わりやすいため、坪単価と工事範囲をあわせて確認することが重要です。
リフォーム事例を動画でまとめています。完成後の雰囲気やポイント確認の参考にしてください。

③坪単価40~60万円前後|内外装を含むフルリフォーム
▶内装の全面更新
▶水回り設備の一新
▶外壁や屋根の補修
30〜40坪の戸建てでは、1,300万〜2,100万円前後が目安です。住み心地は大きく改善しますが、耐震や断熱まで含まれない場合もあるため、工事内容の確認が欠かせません。
職人目線で選ばれているユニットバスを、動画でわかりやすくまとめています。

フルリフォームの施工事例も動画でご紹介しています。住まいづくりの参考にしてください。

④坪単価60万円以上|構造や性能まで踏み込む大規模改修
▶間取り変更を伴う工事
▶耐震補強や断熱改修
▶設備・内外装の全面更新
築30年以上の住宅で、住まい方そのものを見直す際に選ばれやすい工事です。この段階になると、リフォームを続けるか、建て替えを検討するかの分かれ目といえます。
リフォームは必ずしも住宅全体を一度に直すばかりではありません。どの場所を直すか、どこまで直すかを絞ると坪単価は抑えやすくなります。
どの部屋まで手を入れるか
・毎日使うリビングや廊下
・普段使わない部屋や収納は工事範囲に含めない
工事範囲の広げ方
・壁紙や床、建具など、内装の見た目部分だけを直す
・壁の中や床下までは手を入れない
このように工事範囲を整理することで解体範囲を限定でき、内部工事も広がりにくくなります。段取りを簡潔に組み立てやすく、あらかじめ作業の流れを決められるため、現地での調整が減る点もメリットです。さらに、工事を一度に詰め込みすぎないことで、坪単価も抑えやすくなります。
同じ坪数でも建物条件によって費用に差が出る
リフォームの坪単価は、坪数だけで決まるものではありません。戸建てかマンションか、築年数や構造の違いにより費用面に差が出てきます。
・戸建てとマンションの違い
戸建の場合、建物全体が工事範囲となりやすく、外装や設備更新まで含まれるケースがあります。一方でマンションは専有部分のみが対象となるため、同じ坪数でも工事範囲の違いが生じやすいのが特徴です。
・築年数の違い
築年数が古いほど、下地補修や設備更新が必要になりやすいです。例えば壁紙や床の張り替えといった工事内容は同じでも、内部で必要な補修や配管・配線の更新内容が変わり、費用に差が出てきます。
・構造の違い(木造・鉄骨・RCなど)
建物の構造によって解体や施工の工程が変わり、坪単価に反映されます。
同じ坪数でも建物条件によって工事内容と費用は変わるため、坪単価は上下するものと捉えるのが基本です。

同じ坪数であっても、
建物の条件が異なれば、工事内容や必要な工程も変わってきます。
リフォームの坪単価相場を住まいごとに整理

リフォームの坪単価は、住まいの種類によって考え方が変わります。戸建てとマンションでは、工事の進め方や対象範囲に違いがあるためです。
ここからは、戸建て・マンションに分けて、坪単価の考え方をまとめました。
戸建てリフォームの坪単価は幅がある
戸建てリフォームの坪単価は、建物全体ではなく面積で計算するため、相場には大きな幅が出やすい傾向にあります。目安としては、おおよそ30万~80万円/坪前後で、場合により90万円/坪以上のケースも少なくありません。
また、戸建てのリフォーム費用は総額で示されるケースも多く、そこから坪単価に換算すると、金額が一定にならず上下しやすい特徴があります。このため、戸建てリフォームの坪単価は一律に相場を定められるものではなく、費用感をつかむための目安とするのが建設的です。
マンションの坪単価は管理規約に左右される
マンションのリフォーム坪単価は、定められた管理規約の影響を受けることもあります。規約通りに専有部分と共用部分が区別されており、リフォームの進め方が変わるためです。
こうした管理規約に基づく手続きや調整は、実際の見積もりでは全体の費用とされることが一般的です。
工事そのものとは直接関係しない対応ではありますが、リフォームを進める上で必要な工程とされます。これらの条件も坪単価を左右します。
マンションは費用面だけではなく、進め方の違いも大きな分かれ道になります。坪単価で把握する前に、安心できる会社を選んでおくと、手戻りが少ない点がメリットです。マンションリフォーム会社の選び方は、こちらで具体的に解説しています。
坪単価判断を誤らない見定め方とは

リフォームの想定外の費用トラブルは、坪単価だけで判断したことで起こることもあります。
坪単価の段階ではなく、見積もりのタイミングで、明らかになることが多いからです。仕上げ材を撤去してはじめて確認できる、壁・床・天井の内部にある構造部分や下地の傷み、不具合への補修工事などが当てはまります。
ここからは、坪単価の時点で見落としやすい追加費用のポイントと、見積もりとどう使い分ければ判断を誤ることが減るのかを整理していきます。
工事範囲が広がるほど坪単価は上がりやすい
工事範囲の面積が広がるほど、別途で現場を回す費用が増えていきます。一部に限定しているのなら、養生や資材・廃材の搬入出と置き場を一つのエリアでまとめて回すことが可能です。
工事範囲が広いと、作業エリアが変わるたびに、置き場を組み直しながら場所を移して管理する必要があります。そうなると、切り替えや手持ち、エリア復旧、共通仮設・設備の維持対応に追われ、負担が積み重なっていくばかりで、坪単価を割り出す前の工事費は大きくなっていきます。広範囲になった現場では職人の出入りが増えていき、次第に混んでいく恐れがあります。結果として、安全・品質・工程・記録の管理負担が増え、現場管理費として工事費に反映されやすくなります。さらに工事範囲が広がり工期が延びると、仮設や管理にかかる費用は工期に応じて増えていきます。
坪単価は広さそのものよりも、工事が広範囲になることで増える段取りや管理にかかる負担を含む費用を見ると、理解しやすいポイントと言えます。
坪単価は広さだけで決まるのではありません。工事範囲を広げたことで増える段取りや管理にかかる負担を数字として把握すると、全体像が把握しやすくなります。
坪単価だけで判断せず、追加費用を確認する
坪単価は平均的な目安でしかなく、すべての費用項目を含んでいるわけではありません。坪単価の計算時には見えないリフォーム対象が、解体や工事を進めると見つかる場合があります。その中の下地や配管・配線、構造部まわりの補修が必要で、追加費用が加算されます。
追加工事として明らかになりやすいのは、解体後に確認された下地の傷みや、シロアリ被害への対応、配管の交換、電気容量が不足しているケースなどがあります。
また、外装工事では足場の仮設が必要となることもあり、この費用は坪単価の段階では見えにくいです。
坪単価だけで比較して把握すると、工事内容の違いにより費用感がずれる場合があります。そのため、坪単価はあくまで目安として考えることが重要です。
坪単価で全体をつかみ、見積もりで費用を確定する
坪単価は面積を基準にして細かな内訳を出す前に、単価を当てはめて大まかな費用感をつかむ考え方です。ですので、同じ坪数の工事内容の違いまでは見えません。仮設工事や廃棄処分、諸経費は、坪単価では拾えないので、見積もりで初めて明らかになる場合が一般的です。
一方で見積もりは、どれくらいの量と人数で行うかを、作業単位で積算して作成されます。そのため、解体や設備交換、材料費、人件費、諸経費などを項目ごとに整理でき、工事内容ごとに費用のかかり方を把握できます。ここが坪単価と見積もりの役割の違いです。
見積もりでハッキリする例は、配管更新が中心の場合の、給排水管の撤去・交換、設備取付、材料費+職人の施工費がベースの場合などです。そして、耐震補強や外壁工事の場合を見てみると、構造用の部材や補強材、足場設置、外装仕上げなどが当てはまります。

まず坪単価で全体の方向性をつかい、そのうえで見積もりの内訳を確認する。
この順序で考えると判断しやすくなります。
ここまで見てきた違いを踏まえると、判断は順番を意識して行うことが重要です。坪単価で方向性を定め、見積もりの内訳で確定します。この流れを守ることで、追加費用の発生リスクも含めて把握しやすくなります。
坪単価で全体の方向性をつかんだあとは、見積もりの中身と業者ごとの考え方を確認しておくことが大切です。
リフォーム坪単価のよくある疑問Q&A

Q1.坪単価が安い見積もりはなぜ安い?(抜けがちな項目は?)
A.同じ工事内容に見えても、見積もりに含まれている範囲の違いで、坪単価が安く見えることがあります。
具体的には、延床面積ではなく施工面積で割る場合は坪単価が低く出やすい傾向があります。さらに、養生・搬入・清掃・廃材処分などの仮設や段取りに関わる費用が、坪単価の計算から外れて後から加算されることがあります。これらの費用は、後から別途工事として加算されることもあります。
安さの理由は坪単価そのものではなく、どこまで含まれているかの違いによって生じます。
Q2.追加費用が出やすい工事は?(下地・配管・躯体など)
A.実際に着工して解体するまで身が見えない部分は、追加費用が出やすい傾向にあります。
下地や配管・配線、躯体などの住宅の内部部分は、解体後に状態が分かることが多く、腐食や劣化、強度不足が見られるケースも多いです。その場合、追加工事として、下地や構造の補修・補強、配管や配線の更新、取り回しの変更などが必要になることがあります。
このように、工事の進行に応じて、費用が追加されることが一般的です。
Q3.マンションの「管理規約で費用が増える」具体例は?
A.マンションでは、工事内容よりも、進め方の制約により費用が増えることがよくあるケースです。
工事時間に制限があったり、搬入ルールや共用部の養生が必要になったり、他にも管理組合への届出や立ち合いが発生する場合があります。その分、段取りの手間が増え、工期や人件費がかかります。
例としては、クロスの張り替えが1日で終わらず日を分けて行われたり、キッチンやユニットバスの交換で設置と仕上げが別日になることがあります。床の張り替えでも、工程を区切って進めるケースが見られます。
Q4.坪単価で比較して良いケース/ダメなケース
A.前提が揃っているかどうかで決まります。
比較して良いケース
・面積の基準が同じ
・含まれる費用が同じ
・工事内容と仕様が同じ
比較してはいけないケース
・面積の基準が違う
・別途工事や諸費用の扱いが違う
・マンションと戸建てを同じ基準で比べている
前提が揃っていないと坪単価は、正しく比較しにくくなります。

まとめ
本記事では、リフォームの坪単価を相場で決める数字ではなく、費用感を整理する目安として解説してきました。坪単価は、面積の基準や含まれる費用、工事範囲によって意味が変わります。そのため、数字だけで判断するとズレが生じやすくなる点に注意しましょう。
また、同じ広さでも条件次第で費用が変わることや、解体後の追加費用、マンションでは管理規約が工期や人件費に反映される点もお伝えしました。
こうした前提を踏まえ、坪単価で方向性をつかみ、見積もりで判断します。この使い分けが、リフォーム計画を整理するうえでのポイントです。
