玄関の位置を変えるリフォームは、生活動線や間取りを見直せる一方で、外壁工事や構造、管理規約などの条件によっては難しい場合もあります。

戸建てでは検討しやすいものの、耐力壁や住宅条件、マンションの管理規約によっては位置変更ができないケースも多いです。

この記事では、玄関位置を変更するリフォームの仕組みやメリット、費用の目安、マンションで難しい理由、リスク回避のために知っておきたい注意点まで分かりやすく解説します。

玄関の位置変更リフォームはできる?できない?

戸建て住宅なら、玄関の位置変更リフォームは比較的可能なケースが多くありますが、住宅の条件によっては難しい場合もあります。

位置変更には、玄関ドアの交換だけではなく、外壁に新しい出入口をつくるなど間取りに関わる工事が必要になることが多いです。ただし、構造によっては移動できない場合も少なくないです。

特に家を支える壁がある場合は、玄関の位置を変えられないこともあります。また玄関は外壁にあるため、防水などにも配慮が必要です。

住宅の種類によっても事情は異なります。戸建ては調整しやすい一方、マンションでは、共用部分や管理規約の関係で玄関の位置を変えられない場合もあります。

このように、玄関の位置変更リフォームは戸建てでも可能なことが多いですが、構造や住宅条件によっては対応できないことも注意が必要です。

「どこまで手を加えられるか」から整理すると判断しやすくなります。

玄関の位置を変えるリフォームとは?メリット2つ

玄関の位置を変えるリフォームには、生活動線を改善しやすいことや、間取りの不便さを見直しやすいといったメリットがあります。

生活動線を改善できる

玄関の位置を変えるリフォームのメリットの一つは、生活動線を改善しやすいことです。施工後に玄関の位置が変わると、駐車場から玄関までの距離が短くなります。その上、買い物帰りの荷物を持っていても、出入りがしやすくなります。

さらに、玄関から水回りやキッチン、LDKへの移動もしやすくなり、帰宅後の一連の流れもスムーズになるのが特徴です。

あわせて玄関まわりを使いやすく整えることで、収納や土間、シューズクロークの配置も見直しやすくなります。靴やコートだけでなく、ベビーカーやアウトドア用品なども置きやすく、ゆとりのある玄関まわりを保ちやすくなるのもメリットです。

中央玄関の間取りの不便さを改善できる

もう一つは、中央玄関の間取りの不便さを改善しやすいことです。家の中央に玄関がある場合は、廊下が長くなりやすく収納を確保しにくいほか、光が届きにくく暗くなってしまう場合もあります。

さらに、道路側など光が入りやすい場所へ玄関を移すことで、自然光が入りやすくなるケースも多いです。

また、道路から見通しのよい場所に玄関を配置すると、外から玄関まわりが見えやすくなります。そのため、防犯面での安心感が高まる場合もあります。玄関は外と接する場所のため、位置を変えることで騒音の影響を抑えやすくなる点もメリットです。

「どの無駄な空間を減らすか」を基準に考えることで、選ぶべきリフォームの方向性が見えてきます。

玄関の位置を移動するリフォームの費用相場と工期は?

玄関位置を変更するリフォームは、外壁や間取りに関わる工事になることが多いです。玄関まわりでは、ほかにも拡張リフォームや玄関ドア交換などの方法があります。

ここからは、費用や工期、それぞれの違いを見ていきます。

玄関位置変更リフォームの費用が変わるポイント

玄関の位置を移動するリフォームの費用は、玄関ドアの価格だけで決まるものではありません。新しい出入口を外壁につくる工事に加え、元の玄関をふさぐ外壁補修や内装工事も行います。さらに、玄関ホールや廊下のつくり直しなど、間取り変更が必要になる場合もあります。

費用を左右する大きなポイントが、外壁工事の有無です。既存の玄関開口部を閉じて外壁として補修したり、新しく開口を設けたりする場合は、工事範囲が広がるほど費用も高くなりやすくなります。こうした間取り調整の有無も、費用を左右するポイントです。

こうした外壁や内装工事を伴う場合は、部分リフォームのように短期間では終わりません。数日で終わるケースから、間取り変更を含む場合は数週間以上かかることもあります。

このように、玄関位置変更は外壁工事や間取り調整によって費用や工期が変わる工事です。ほかにも、拡張リフォームや玄関ドア交換などの方法があります。

中央玄関の移動と玄関拡張リフォームの費用の違い

玄関まわりのリフォームは、玄関位置を変える、スペースを広げるのどちらかで工事の規模が大きく変わります。

よくあるケースとして、玄関位置の変更は外壁・内装工事を伴い、費用は100万~300万円程度が一般的です。間取り変更を伴うと、さらに費用が上がることもあります。

一方、玄関を拡張する場合は、位置を大きく変えずに、土間や玄関ホールの広さを調整するケースが多いです。位置を変更するリフォームに比べて工事範囲が限定されやすいのが特徴です。

費用は工事内容によって異なりますが、収納の追加など小規模な工事であれば数万円~数十万円程度、玄関スペースを広げる増築工事であれば50万~100万円程度が目安とされています。

玄関位置変更は、外壁や内装、間取り調整を伴う大掛かりな工事のため、工事全体の工期が数週間~3ヶ月程度になるケースが見られます。

一方、玄関拡張では、既存の玄関土間やホールを広げる部分工事として行われることが多く、工期はおおよそ数日~2ヶ月程度が目安です。

工期は、施工内容や場所によって幅があります。既にある玄関土間を一部のみ広げる工事であれば短期で完了します。

その一方、外壁の開口や増築など大がかりになると、工期が長くなる傾向があります。

中央玄関の移動は間取りまで変える工事、玄関拡張は今の玄関を広げる工事です。こう考えると費用の違いが分かりやすくなります。

玄関ドア交換リフォームとの費用比較

玄関ドア交換の費用や工期を見ると、玄関の位置変更とどう組み合わせるかは、工事の規模により変わることが分かります。

玄関ドア交換は、玄関の枠や開口をそのまま活かし、ドア本体だけを新しいものに交換する工事です。玄関の位置変更などと比べると、費用や工期は小さく収まりやすく、約24万~50万円前後が一般的です。

それこそ、既存の枠の上から新しいドア枠をかぶせる「カバー工法」などを使えば、1日程度で完了する場合もあります。

このように、玄関リフォームは改善したい内容により選ぶ工事が変わるのが特徴です。

ドアの老朽化や断熱・防犯機能の改善はドア交換、玄関の狭さには拡張リフォーム、生活動線や間取りの見直しには位置変更と考えると整理しやすくなります。

玄関ドア交換等のリフォームについては、こちらの記事も参考にして下さい。

リフォーム依頼前に確認したい注意点

玄関の位置変更は、マンションでは思い通りにできない場合があります。管理規約や構造、間取りなどに関わるため、リフォーム前に注意点を確認しておきましょう。

マンションでは玄関の位置変更が難しい理由

マンションで玄関位置の変更が難しいのは、玄関まわりが多くの場合、工事可能な専有部分ではなく共用部分として扱われるためです。また、建物の外観の仕様や形状をそろえる必要もあり、個別の変更は認められないことがあります。

マンションリフォーム推進協議会でも、玄関ドアは共用部分に当たるため、共用廊下の移動や交換、塗り替えなどは原則できないとされています。

管理規約や管理組合の承認が必要になる点でも難しいです。国土交通省の標準管理規約でも、玄関ドアなど開口部の工事は、区分所有者の場合は承認が必要です。工事前に理事長の承認を得ることも重要となります。

他にも、新しい開口部の設置や玄関の閉鎖、廊下や収納の配置調整をおこなう場合でも、マンションではリフォームが難しいことがあります。給排水管やガス管の通るパイプスペースは共用部分に当たり、柱や梁、壁、床スラブなどの構造体も変更できないためです。

共用部で玄関ごとの仕様が変わると、建物全体の防火性や遮音性が安全に機能しない可能性があるため、位置の変更などは禁止の場合が多く見られます。

このように、マンションでは玄関の位置変更が難しいのは、管理規約や構造・設備などの条件が関わるためです。戸建てのような間取り変更とは異なり、共用部分の扱いや図面、構造・設備条件を確認した前提で可否を判断する必要があります。

専有部分と共用部分の違いを前提に考えて、「どこまで自由に変えられるか」を把握すると現実的な判断がしやすくなります。

マンションのリフォームは「できるかどうか」ではなく、「どこまで自由に変えられるか」を把握することが重要です。専有部分と共用部分の違いを前提に考えることで、現実的な判断がしやすくなります。

マンションで玄関位置の変更が難しいのは、玄関まわりが多くの場合、工事可能な専有部分ではなく共用部分として扱われるためです。

耐力壁による玄関位置変更の制限

玄関の位置変更は、建物の安全性に関わるため制限される場合があります。

重要なのは、新しい出入口を設ける壁が、建物の強度や耐震性を支える構造上重要な壁ではないか確認することです。一見すると普通の間仕切りに見えても、構造上重要な壁である場合があります。こうした壁に開口部を設けると、壁が支えていた地震の揺れを受け止めにくくなり、揺れに対して弱くなります。

特にマンションでは、壁の一部を撤去して新たな開口・既存の玄関開口を閉鎖する工事が必要になることも多いです。その壁が耐力壁の場合、計画自体が難しくなることがあります。

コンクリートの柱と梁で支えるラーメン構造は間取り変更がしやすい一方、壁式構造は壁そのものが建物を支えるため、撤去や開口が可能な壁が限られる点が工事の可否を左右します。

壁式構造でも、すべての壁が耐力壁とは限りません。ただし、一見だけでは判断できないことが多く、図面や構造資料の確認をしなければ正確には分かりません。マンションの図面では、耐力壁は太線や二重線、壁厚の数値などで示されます。それらを確認することで、構造上で動かせない壁がどこかを把握でき、工事計画の時点で手戻りを防ぎやすくなります。

ただし、解体して初めて壁の位置や厚み、開口時に必要な補強の有無も見えてくる点には要注意です。実地調査するほど難易度の高さが見えてくるのも、玄関の位置変更リフォームの特徴です。

玄関の位置変更は、ドアの場所を変えるだけの工事ではありません。新しい開口を設けたい壁が耐力壁かどうか、周辺構造や共用部分との関係も踏まえ、その壁が工事可能かを確認することが重要です。 

間取り変更が必要なケース

玄関は、廊下やLDK、水回りなど住まいの空間へつながる動線の起点になる場所です。そのため、位置の変更後には、住まい全体の間取りを見直す必要が生じる場合もあります。

また、設備配管やパイプスペースの位置による間取り変更の制限に注意しておくことも、可能な計画を組み立てるポイントです。そのためにも、配管変更では共用配管との接続を確認して、設備容量との整合を取りつつ進めることも必要です。

玄関の位置を別の場所に移すと、これまでの廊下の動線が合わなくなり、通路のレイアウトをつくり直すことがあります。他にも、旧玄関スペースを別の用途にするために、壁や収納の配置を変えることも選択肢です。

玄関からLDKへ入りやすくするため、入口の位置を変えて動線を整えたり、玄関横に収納やシューズクロークを設けたりするケースもあります。

このように玄関位置の変更は、住まい全体の間取りに関わるリフォームになることがあります。

Q&A

■住みながら工事はできる?

玄関の位置変更は、壁を壊したり出入口を作ったりするため、住みながらの工事は難しいです。もしも小規模な工事なら可能ですが、大がかりになると仮住まいを検討する方も多いです。

「中央玄関から端寄せ玄関に変更した例」

中央に玄関がある間取りでは、廊下が住戸の奥まで一直線に通り、個室が両側に並ぶ構成が一般的です。

移動用のスペースに面積が取られる分、居室やLDKに回せる広さが限られやすいです。通路部分を室内側に取り込み、生活スペースとして使う例も見られます。こうした住戸では、玄関を端側に移し、廊下を取り込む形もあります。

既存の玄関と通路をLDKに振り替え、収納を一ヶ所に集約することで、廊下の面積を抑えつつLDKの空間にゆとりが生まれる構成です。そのため、動線もシンプルになります。

「駐車場側へ玄関を移して動線が短くなった例」

玄関を駐車場と離れている位置から移すと、「駐車→玄関」と直線でつながり、短い移動距離で出入りの流れが整います。その場合、既存の玄関土間やホールスペースを居室や収納に取り込み、外壁側に新たな出入口を設ける配置に変更されます。

それに合わせて、玄関から室内へつながる通路の位置も見直され、荷物の出し入れや外への持ち出しがしやすいのがメリットです。

「玄関移動は難しく、ドア交換+土間拡張で解決した例」

位置を動かしにくい場合は、既存の玄関ドアをそのまま

使う方法が一般的です。そのため、室内側の床の一部を土間に変え、使える範囲を室内側へ広げます。

ドアの開き方を調整し、土間に面する壁面に収納を動線上にまとめて配置することで、出入口から収納までを同じ高さでつなぎます。

土間と室内で床材を切り替え、使う範囲を分ける構成です。土足で使う範囲と室内の床を分けて扱いやすくなります。

■確認申請が必要になることはある?

確認申請が必要になるケースもあり、玄関スペースや土間を建物外側に張り出して床面積が増える場合などです。そして、耐力壁・柱・梁など建物の構造に関わる部分を大きく修繕・模様替えする場合も確認申請が必要になることがあります。

また、構造に関わらない小規模な位置変更なら申請は不要なことが一般的とされています。

申請の要否
https://www.city.osaka.lg.jp/toshikeikaku/page/0000012116.html

増築の判断
https://www.pref.yamagata.jp/180025/gyousei/reform_toriatsukai.html

申請免除の条件
https://www.city.susono.shizuoka.jp/soshiki/6/1/3/5/1764.html

■玄関移動と同時にシューズクロークは作れる?

戸建てだと、基礎の立ち上がりが邪魔になる位置では、土間を広げにくくてシューズクロークを設けられないことがあります。マンションでも、玄関まわりの変更は躯体や共用部分、パイプスペースなどの条件により制限がかかることも多いです。

そのため、玄関横に収納を設けたり、ウォークスルー型のシューズクロークにしたりと、出入りしやすい動線も含めて計画することが大切です。

■補助金は使える?

玄関の位置変更そのものを対象にした補助金は、基本的にありません。ただし、玄関まわりのリフォームが省エネ改修やバリアフリー改修、住宅性能向上リフォームとあわせて行われる場合は、国の補助制度や自治体の住宅改修補助金が利用できることがあります。

ISMのYouTubeチャンネルでは、リフォームの考え方をイメージしやすい内容を紹介しています。参考にしてみてください。

まとめ

玄関の位置変更は、出入口を動かすだけでなく、外壁工事や間取り調整を伴うことが多いリフォームです。そのため、構造条件やマンションの管理規約、設備配管などにより工事できるかどうかが決まります。

住宅の条件や工事範囲を確認したうえで計画を立てることが、使い勝手のよい玄関リフォームにつながります。

さいたま市・上尾市・桶川市・熊谷市周辺で、玄関まわりの動線改善や間取り変更を検討中の方は、お住まいの図面や現地状況を確認しながら、位置変更の可否と代替案までご案内します。