窓を塞ぐリフォームは、断熱性や防音性を高め、プライバシーを守るための有効な手段です。しかし、「費用はいくらかかる?」「換気や採光に問題はない?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
この記事では、窓をなくすリフォームとその費用相場、さらに後悔しないためのメリット・デメリット、そして業者選びのポイントまで、具体的に解説します。
目次
窓をなくす・塞ぐリフォームとは?

「窓をなくす」「塞ぐ」「小さくする」リフォームとは、既存の開口部を撤去・改変し、壁や小窓へと変える改修を指します。リフォームの目的は、断熱性や防音性の向上、プライバシーの確保、そして自由な家具配置を可能にすること。具体的な工法は、主に以下の4種類が知られています。
内側から塞ぐ方法(石膏ボード・断熱材使用)
既存の窓枠やサッシを残したまま、室内側から木材で下地を組み、断熱材を入れて石膏ボードと壁紙で仕上げる方法です。外側はそのまま残すか、簡易的な処理を施して外観に馴染ませるのが一般的です。
費用を抑えられる反面、外から見ると窓の跡が残る可能性があります。室内環境の改善を優先したい場合に適したリフォームです。
外壁側から塞ぐ方法(外壁材を張る)
窓の外枠を取り除き、外壁材を新たに張って仕上げる方法です。外壁材の加工や、高所での作業に備えた足場設置が必要になるため、内側だけを塞ぐ場合に比べてコストはやや高くなります。
外観をきれいに整えたい場合や、窓の跡を完全に消したい場合におすすめの施工方法です。
完全撤去して壁にする方法
サッシ、ガラス、枠をすべて撤去するリフォーム。新しい下地を組み、断熱材を充填した上で内外装を仕上げます。構造補修や外壁仕上げまで行うため、費用も工期も長くなります。
外壁を壊して改修する必要があるため、中規模リフォームに分類されます。
窓をなくす以外のリフォームとは?

窓を完全になくしたり、塞がなくてもできるリフォームをご存知でしょうか。「光は入れたいけど、視線は遮りたい」「窓を残しつつ寒さを防ぎたい」という方におすすめのリフォーム方法をご紹介します。
内窓(二重窓)を追加する方法
既存の窓の内側に、樹脂やアルミのサッシを追加するリフォームです。
断熱性、防音性、結露対策に優れ、短期間で完了するのが大きな利点。
採光を維持しつつ、住まいの性能を向上させたい方におすすめです。
すりガラス・外付けブラインド・面格子を追加する方法
窓をなくさずにプライバシーを確保したい場合は、すりガラスや外付けブラインド、面格子を取り付ける方法があります。これらの方法は比較的短期間で施工できるうえ、窓自体を残すため通風や採光を損ないにくい点もメリットです。
それぞれの特徴は以下の通りです。
・すりガラス:室内を明るく保ちながら視線をやわらかくぼかす効果があります。
・外付けブラインド:日差しの量や視線の方向をコントロールしやすいのが特長です。
・面格子:防犯性を高めつつ、デザインによって外観にアクセントを加えることもできます。
窓を小さくリサイズする方法
既存の窓をそのまま活かしながら、開口部を小さくして新しいサッシを取り付ける方法です。外壁をすべて塞ぐわけではないため、採光や換気をある程度保ちつつ、外からの視線や日差しの入り方を調整できます。
工事では、既存の窓枠を部分的に解体し、下地の補修や外壁の仕上げを行った上で、新しいサイズのサッシを設置します。日当たりが強すぎる部屋や、通りに面した大きな窓など、窓を完全には塞ぎたくない場合に適したリフォームです。
窓をなくすリフォームのメリット

窓を撤去・壁にすることで、住まいの快適性は大きく向上します。ここでは、窓をなくすリフォームの主なメリットをご紹介します。
断熱効果の向上
窓は「壁の約5倍も熱を通しやすい」と言われています。そのため、窓を壁にすることで、断熱材と壁材が熱の出入りを防ぎ、室内温度を安定させることが可能です。
また、冬の寒さや夏の暑さを軽減し、光熱費の節約にもつながります。
防音性能の改善
ガラスやサッシは音を通しやすいため、窓を壁に変えることで遮音性は大きく向上します。
道路沿いや線路近くなど、騒音に悩む住環境で特に高い効果を発揮するでしょう。
プライバシーの確保
窓をなくすことで外からの視線を遮ることができ、プライバシーの確保に役立ちます。リビングや寝室でカーテンを閉める必要がなくなり、快適性がアップするのが魅力です。
耐震性の向上
壁の開口部を減らすことは、建物の強度を高める効果が期待できます。ただし、すべての壁を自由に塞げるわけではありません。耐力壁など、構造に影響する箇所を扱う際は、専門家の判断を仰ぐことが大切です。
窓をなくすリフォームのデメリット

窓をなくすことで生じる懸念点もあります。快適な暮らしを維持するために、以下のデメリットを理解しておくことが重要です。
室内の採光・換気への影響
窓をなくすと、自然光が入りにくくなり、室内がやや暗く感じられることがあります。また、通風の経路が減ることで、空気の入れ替えがしづらくなる点にも注意が必要です。
対策として、換気扇や給気口を設けるほか、壁や天井を明るい色で仕上げる工夫が効果的です。
外観デザインの変化
窓を塞ぐと外壁に「窓のない面」が生まれ、建物全体の印象が変わります。外観のバランスを崩さないよう、既存の外壁材や色味に合わせて仕上げることが大切です。
建築基準法上の採光・換気規定
居室には、建築基準法で定められた採光面積と換気量を確保する必要があります。
採光に関しては、床面積の「1/7 以上」の有効開口面積が必要とされており、照明設備など一定の条件を満たす場合は「1/10 以上」まで緩和されます。
窓をなくすことでこの基準を下回る場合、確認申請や追加工事が必要になることも。リフォームを行う際は、必ず専門業者に相談し、法に則った設計を行いましょう。
窓をなくす・塞ぐ・小さくするリフォームの費用相場
工事費用は、外壁の撤去や補修、足場の有無など、施工範囲によって大きく変わってきます。一般的な相場を比較してみましょう。
| 施工内容 | 費用相場 | コストを左右する主な要因 |
| 内側のみ塞ぐ(石膏ボード+断熱材) | 約5万〜15万円 | 材料の種類・大きさ |
| 外壁側も含めた完全施工 | 約15万〜30万円 | 外壁の撤去・補修、外壁材の種類 |
| 窓を小さくする施工費用 | 約20万〜40万円 | サッシ交換の有無、窓の幅 |
なお、こちらの費用はあくまで目安です。2階以上の高所作業で足場が必要な場合、この相場に加えて別途10万円前後が加算されることを考慮に入れておきましょう。また、外壁や構造の状態、窓の大きさによっても変動します。
窓のリフォーム費用について詳しく知りたい方はこちら
リフォーム業者を見分けるポイント

窓をなくす工事は、単なる内装の変更ではなく、建物の構造や外壁の防水性、断熱性能に深く関わる、専門性の高いリフォームです。そのため、信頼できる業者を選ぶことが、工事の成功と将来の安心を左右する極めて重要な要素です。
「価格が安い」という理由だけで選ぶのではなく、以下のポイントを必ずチェックしましょう。
建設業許可や資格の有無
適切な許可や資格を持っている業者を選びましょう。特に窓を塞ぐ工事は、壁の撤去や補強が必要になるため、建築に関する幅広い知識が求められます。そのため、業者のホームページや名刺などで確認することが大切です。
専門資格には以下のようなものがあります。
・建築士(一級・二級)
建築士がいる業者は、建築基準法や構造の安全性を理解した上で設計・施工監理ができるため、構造上の問題やトラブルを未然に防げる安心感があります。
・一級建築施工管理技士
現場での工程管理や品質管理のプロフェッショナルです。この資格を持つ担当者がいれば、断熱材の充填漏れや防水層の不備といった施工不良のない、適切なリフォームが期待できます。
施工実績と口コミ・評判
実際に窓をなくすリフォームの実績があるかを確認しましょう。過去の事例写真で仕上がりの精度を見ておくと安心。
また、口コミサイトやSNSの評判も参考にするのもおすすめです。「対応が早かった」「問題解決に誠実だった」といった記述があれば、万が一の際も安心できる業者だと判断できます。
事例写真は、以下の点を確認してください。
・既存の外壁と新しい壁材との継ぎ目が自然に処理されているか。
・色や素材が違和感なく馴染んでいるか。
・窓枠撤去後の防水シートの施工状況や、壁内への断熱材の充填方法など、見えない工程についての詳細な説明があるか
現地調査と見積もりの丁寧さ
業者選びの過程で最も差が出るのが、現地調査と見積もり作成のプロセスです。
信頼できる業者は、現地調査を丁寧に行い、寸法、構造、劣化状況を正確に確認してくれます。
また、見積書を簡易的な手書きや、「一式」で済ませる場合は要注意です。
「断熱材の種類や厚さ」「下地材の量」といった材料や、工事工程における「外壁補修費用」「足場費用」「廃材処分費」などが明示されているかチェックしてください。
内容と価格を比較検討するためにも、複数社から相見積もりを取得し、それぞれの内訳を比較することが大切です。極端に安い見積もりは、後から追加費用が発生するリスクが高いことを覚えておきましょう。
アフター保証の内容
数年後に発生するかもしれない不具合など、もしもの時の備えとして、施工後の保証や補修対応がどこまで含まれるかを必ず確認してください。施工保証の期間と範囲、定期点検の有無などが、事前に明記されている業者を選びましょう。
窓をなくすリフォームでよくある質問

窓をなくすリフォームを検討する際の、よくある質問にお答えします。
Q.換気や採光は大丈夫?
窓をなくすと自然換気が難しくなります。そのため、換気扇や給気口といった機械換気を併用するのがおすすめです。特に採光が不足する場合は、壁面の窓を塞ぐ代わりに、トップライト(天窓)や高窓を増設するという解決策もあります。
Q.マンションでも窓をなくせる?
マンションの窓は、建物の共用部分にあたります。そのため、勝手に撤去・変更することは原則としてできません。ただし、内窓の設置や窓を固定化するリフォームなら、許可されるケースもあります。事前に管理組合や規約を確認することが必要です。
Q.工事期間はどのくらい?
工事の規模によって期間は異なります。
内側だけ塞ぐ工事:1〜2日
外壁補修をして壁にする工事:2〜3日
足場設置を含む大規模工事:3〜5日程度
塗装やクロスの乾燥時間を含めると、全体で1週間前後を見ておくと安心でしょう。
Q.DIYは可能?
発泡スチロールや石膏ボードを使って窓を塞ぐ補修は、DIYでも対応は可能です。
ただし、防水処理や断熱施工、外壁補修は専門知識が必要で、失敗すると結露や雨漏りの原因になってしまいます。DIYする場合は、構造部分には手を出さないよう十分な注意が必要です。
まとめ
窓をなくす・塞ぐ・小さくするリフォームは、住まいの断熱性、防音性、プライバシー、さらには耐震性の向上に直結します。
また、リフォームを行う際は、採光や換気の確保、建物の外観デザインなどへの十分な配慮が必要です。
資格、施工実績、保証内容、見積もりの明確さを重視して、慎重に業者選びをすることがポイント。安心できる業者にリフォームを依頼することが、後悔のないリフォームを実現する鍵となるでしょう。

