キッチンリフォームを検討するとき、多くの方がまず気になるのが費用です。国や市区町村が設けている補助金制度を活用すると、工事費用の自己負担を抑えることができます。ただし、制度ごとに対象となる工事や申請条件が異なるため、事前に内容を把握しておくことが大切です。

この記事では、次の3点をまとめています。

  • 埼玉県で使えるキッチンリフォーム補助金の全体像(国・市区町村別)
  • 補助金が使える工事・使えない工事の具体例
  • 主要市ごとの独自制度と活用のポイント

制度の選び方や組み合わせ方によって、受け取れる補助額は変わります。ぜひ参考にしてください。

目次

そもそも、キッチンリフォームに補助金は使えるの?

補助金は大きく「国の制度」と「市区町村ごとの独自制度」の2種類に分けられます

国の制度は、省エネやバリアフリーを目的としたリフォームに交付されるもの。埼玉県内のどこに住んでいても対象となり、補助規模が最も大きい点が魅力です。申請は施工業者が代行するケースが多く、自分ですべての手続きを行う必要はありません。

市区町村ごとの独自制度は、地域によって内容・金額・条件が大きく異なります。国の制度と併用できる場合もありますが、「同一工事への二重申請は不可」というルールがあるため、どの制度で何を申請するかは慎重に整理することが必要です。自分のエリアに制度があるかどうかは、施工業者か各市区町村の窓口に確認するのが確実といえます。

埼玉県のキッチンリフォームで使える補助金制度

① みらいエコ住宅2026事業

省エネ性能が不十分な既存住宅の改修を支援する、国が実施する大型補助金制度です。キッチン周辺の省エネ設備の設置工事も補助対象に含まれます。

項目内容
補助上限リフォーム内容に応じて40万円〜100万円/戸
対象住宅平成28年以前に新築された住宅
対象全世帯
キッチン関連の対象工事エコ住宅設備(食洗機・節湯水栓など)の設置
対象工事例開口部の断熱改修(窓・ドア)、躯体の断熱改修(外壁・屋根・床)、エコ住宅設備の設置、子育て対応改修、バリアフリー改修など

注意点:キッチンの節湯水栓や食洗機などの設備工事だけでは申請できません。居室(トリガールーム)において開口部・躯体の断熱改修を必須工事として同時に実施することが申請条件です。

また、補助額の合計が5万円以上でなければ申請そのものができないため、工事規模の設計段階で確認が必要です。内窓を最低1箇所設置することで要件を満たせるため、キッチンリフォームと内窓設置をセットで計画するのが現実的な方法といえます。

制度の詳細・補助対象製品の一覧・具体的な申請方法は、こちらの記事で解説しています。

② 介護保険の住宅改修|最大18万円

介護保険の住宅改修は要支援・要介護の認定を受けた方が住みやすい環境に改修する際、工事費の一部を補助する全国共通の制度です。バリアフリー目的であれば、キッチンも対象箇所に含まれます

項目内容
対象要支援・要介護 の認定を受けた方
補助額原則9割(上限18万円)
対象箇所キッチン・お風呂・トイレ・洗面台・玄関など
対象工事例手すりの取付、段差の解消、引き戸等への扉の取替え、洋式便器等への便器の取替えなど
  • 対面キッチンへの変更・設備の単純更新は対象外
  • バリアフリー目的の改修に特化した制度
  • 対象外の工事でも、同時に行うことで一部対象になるケースあり

この制度には「一生涯の支給限度額20万円(=補助上限18万円)」という上限があります。さいたま市独自の制度との併用については、事前に担当窓口への確認が必要になります。

補助金を使える可能性があるキッチン工事事例

キッチンリフォームのなかでも、条件を満たせば補助金の対象となる工事があります。単独で申請できるものと、別の工事と組み合わせることで対象になるものとでは、計画の立て方が変わります。

工事内容申請区分使える可能性がある補助金主な条件
キッチンの段差解消・手すり設置単独可介護保険住宅改修 / 市区町村のバリアフリー制度要支援1以上の介護認定があること
引き戸・バリアフリー扉への変更単独可介護保険住宅改修要支援1以上の介護認定があること
床材の変更(バリアフリー目的)単独可介護保険住宅改修滑り止め・段差解消など安全性向上が目的であること
節湯水栓への交換組み合わせみらいエコ住宅2026断熱改修(要件化工事)との同時施工。補助対象製品リスト掲載品に限る
ビルトイン食洗機の設置組み合わせみらいエコ住宅2026同上。省エネ型かつ補助対象製品であること
三世代同居のためのキッチン増設工事組み合わせみらいエコ住宅2026断熱改修との同時施工。子育て対応改修として申請できる場合がある

「単独可」の工事は介護認定を受けている方が前提となります。「組み合わせ」の工事は、トリガールーム(外皮に面する開口部がある居室)での開口部断熱改修(窓工事)を含む要件化工事を実施することが申請の前提条件です。

対象にならないキッチン工事事例

補助金の対象にならない工事を把握しておくことも同じくらい重要です。対象外と知らずに工事を進めると、申請できないまま費用を全額負担することになります。

工事内容対象外の理由
省エネ要件なしのシステムキッチン本体の入れ替え省エネ・バリアフリー目的を伴わない単純な設備交換は対象外。省エネ設備(食洗機・節湯水栓など)を同時設置する場合は、その部分のみ切り出して申請できる
対面化・レイアウト変更のみ附帯工事単独では申請不可。断熱改修との同時施工であれば、付帯する省エネ設備部分のみ対象になる場合がある
キッチン収納の増設・造作工事補助金対象の設備工事に該当しない
食器棚・レンジ台などの家具購入建築工事でないため、すべての制度で対象外
節湯機能のない水栓の単純交換省エネ要件を満たす製品への交換でなければ対象外。補助対象製品リスト掲載品であることが条件

「対象外」と分類される工事でも、補助対象の工事と同時に施工することで認められるケースがあります。たとえば、対面化工事と同時に節湯水栓・食洗機を設置する場合、設備変更部分は補助対象として申請できます。工事の組み合わせ方で受け取れる補助額が変わるため、見積もりの段階から業者に確認しておくことをおすすめします。

【モデルケース】対面キッチンへの変更と省エネリフォームを同時施工する場合

モデルケース:対面キッチンへの変更と省エネリフォームを同時施工する場合

工事内容費用(目安)補助対象
対面キッチンへの変更(レイアウト変更)150万円対象外
内窓の設置(1か所)15万円対象(先進的窓リノベ2026)
ビルトイン食洗機(省エネ型)の設置20万円対象(みらいエコ住宅2026)
合計185万円

補助金の内訳(目安)

制度対象工事補助額目安
先進的窓リノベ2026内窓1か所約3〜6万円(製品・サイズによる)
みらいエコ住宅2026ビルトイン食洗機約2.1万円(固定額)
合計約5〜8万円

さいたま市の補助金制度

さいたま市に住んでいる場合、国の制度に加えて市独自の上乗せ補助を受けられる可能性があります。バリアフリーや福祉目的の改修に対して特に手厚い制度が設けられているのが特徴で、国の制度と原則として併用も可能です。

重度身体障害者(児)居宅改善整備費の補助|最大30万円

項目内容
対象さいたま市在住・身体障害者手帳所持・肢体不自由1〜3級(所得制限あり)
補助額改善費用の3分の2・上限30万円
受付期間2026年4月1日〜
対象箇所キッチン・お風呂・トイレ・洗面台・玄関
対象工事例お風呂のバリアフリー化、トイレのバリアフリー化、居室や出入口の改善など

介護保険と異なり、年齢や要介護認定の有無に左右されない点が特徴です。一方で、障害等級や所得制限などの要件が設定されているため、詳細はさいたま市の担当窓口へご確認ください。

介護予防高齢者住環境改善支援事業|最大15万円

項目内容
対象さいたま市内に1年以上居住・65歳以上・介護保険の認定を受けていない・基本チェックリストで要介護リスクが高いと判定された方・介護保険料の滞納がない方
補助額【第1・2段階】対象経費の全額・上限15万円/【第3〜15段階】対象経費の3分の2・上限10万円
受付期間2026年4月1日〜
対象箇所キッチン・お風呂・トイレ・洗面台・玄関
対象工事例手すり取付、段差の解消、引き戸への変更、洋式便器への取替えなど

補助額は介護保険料の所得段階によって異なります。第1・第2段階の方は対象経費の全額(上限15万円)、第3段階以降の方は対象経費の3分の2(上限10万円)が支給される仕組みです。介護保険住宅改修との併用可否については、申請前に必ず担当窓口へ確認してください。

川口市|住宅リフォーム補助金

税込20万円以上のリフォーム工事を行う場合、工事費用の5%(最大10万円)が補助される制度です。

項目内容
対象川口市内の住宅に住む方
主な条件市内の個人住宅で、過去にこの補助金(旧住宅改修資金助成金含む)を受けたことがない住宅であること など
対象工事令和8年8月31日までに完了報告に必要な書類を全て提出できる工事 など
受付期間令和8年4月16日から令和8年8月5日まで(予算額に達し次第終了)

市が実施する他の助成制度とは併用できないため、工事項目ごとに申請先を振り分けることが必要です。

川越市|住宅改修補助金

改修工事費用(税抜)の5%(最大5万円まで)が補助される制度です。

項目内容
対象川越市内の住宅に住む方
主な条件市内の施工業者を利用すること
受付期間前期:(終了)令和8年4月8日から令和8年4月15日まで

中期:令和8年7月1日から令和8年7月8日まで

後期:令和8年11月5日から令和8年11月12日まで

対象要件工事費が20万円以上(税抜)であること など

受付期間が約1週間と非常に短い点が特徴です。早めに業者と打ち合わせをし、書類の準備まで整えておくことが申請成功の鍵になります。

熊谷市|住宅リフォーム補助(クマPAY交付)

リフォーム費用の一部を地域電子マネー「クマPAY」で還元する補助制度です。税抜き20万円以上の工事に対し、工事費用の5%(限度額10万円)まで補助されます。

項目内容
補助の特徴現金ではなく地域電子マネー「クマPAY」で交付
受付期間令和8年4月1日~令和9年3月31日まで

※工事完了日の翌日から起算して90日以内に申請

主な条件市内の事業者によるリフォームであること

現金ではなくクマPAYでの還元という点が他市と異なります。市内の加盟店で利用できるため、日常的に熊谷市内で買い物をする方にとっては、十分に実用的な補助といえるでしょう。

越谷市|住宅・店舗改修促進補助金

補助対象工事の20%(最大10万円まで)が補助される制度です。

項目内容
補助額工事費の20%・上限10万円
受付期間令和8年6月1日~令和8年6月15日
対象越谷市内の住宅の改修工事・20万円以上の工事費
主な条件市内の施工業者を利用すること

注意点: 予算超過の場合は抽選になります。受付期間は例年2週間前後と短く、2026年度は6月1日〜15日が受付期間(予定)です。受付開始に合わせてすぐ動けるよう、5月中に業者との打ち合わせと書類準備を済ませておくことをおすすめします。

所沢市|創エネ・蓄エネ「所沢市スマートハウス化推進補助金」

市内住宅への省エネ・再エネ設備の設置に対し補助を行っている制度です。

項目内容
補助上限設備により異なる(太陽光15万円・蓄電池24万円・非FIT蓄電池61.6万円など)
対象市内住宅への省エネ・再エネ設備の設置
主な条件市内に居住していること など

キッチンリフォームと同時にエコキュートや蓄電池を導入する場合は、国の補助金と併用できる場合があります。(併用の可否は必ずご確認ください)

省エネ設備との同時導入を計画の早い段階から視野に入れておくことが、所沢市での補助活用のポイントです。

上尾市|住宅断熱改修奨励金結婚新生活支援事業

複数の制度を組み合わせることで、世帯の属性に応じた手厚い支援が受けられるエリアです。

制度①:住宅断熱改修奨励金

国の「みらいエコ住宅2026」または「先進的窓リノベ2026」を利用した市民に対し、上尾市が奨励金を上乗せ交付します。国の補助に市の補助が重なる、いわゆる「ダブル補助」が実現できる制度です。

制度②:結婚新生活支援事業

項目内容
補助額上限30万円(29歳以下は上限60万円)
対象結婚を機に上尾市内で居住する住宅の改修費用

結婚を機に上尾市内で新しく居住する場合、新築住宅の購入または住宅リフォームを行う際などに活用できます。29歳以下であれば最大60万円と、特に手厚い支援内容です。

補助金申請の基本的な流れ

一般的な申請ステップ

  1. リフォーム内容を決め、見積もりを取る
  2. 使える補助金を確認する(業者に相談するのが最短ルートです)
  3. 工事前に申請書類を提出する(注意点:着工後の申請は原則不可)
  4. 審査通過後、契約・着工
  5. 工事完了後に実績報告を提出(写真・領収書などの証拠書類が必要)
  6. 補助金の振り込み

最大の落とし穴は「着工後申請」です。工事が終わってから申請しようとしても、原則として受け付けてもらえません。スケジュールを誤ると、対象工事を行っていても補助が受けられない事態になります。

補助金を使ったキッチンリフォームでよくある失敗と対策

事前に把握しておくだけで、ほぼ防げる失敗が3つあります

① 工事後に申請しようとして補助金が使えなかった

申請は着工前が原則です。リフォームを検討し始めた段階で、同時に補助金の確認を始めることが重要です。

② 予算が締め切られていて申請できなかった

補助金は予算に上限があり、先着順で締め切られます。「まだ大丈夫だろう」と先延ばしにするほど、申請できるチャンスは狭まります。早めの準備を心がけましょう。

③ 対象工事と非対象工事を混同して計画を立ててしまった

「キッチンリフォームなら全部補助が出る」という誤解は少なくありません。補助の対象になるかどうかは、工事内容と使用する設備によって決まります。見積もりの段階から「この工事は対象か」を業者と一緒に確認することが、計画ミスを防ぐ最善策です。

よくある質問

Q. キッチンのリフォームだけでみらいエコ住宅2026に申請できますか?

A. 申請できません。キッチン・浴室などの住宅設備リフォームだけでは申請要件を満たせないため、断熱改修(窓・外壁・屋根・床など)との組み合わせが必要です。また、対象となるのは「平成4年基準」または「平成11年基準」を満たさない住宅に限られます。詳細は施工業者または公式サイトでご確認ください。

Q. 複数の補助金は組み合わせて使えますか?

A. 組み合わせが可能なケースがあります。ただし、同一工事への二重申請は認められません。どの工事にどの補助金を充てるかを整理したうえで申請することが必要です。複数制度の活用を検討する場合は、該当する窓口および補助金申請の実績がある業者への相談が最善策です。

Q. 市区町村独自制度は毎年変わりますか?

A. はい、制度の内容・補助金額・受付期間は年度ごとに変更されることがあります。本記事の情報は2026年5月時点のものです。申請前には必ず各市区町村の公式サイトまたは担当窓口で最新情報をご確認ください

Q. 補助金の申請は自分でしなければなりませんか?

A. 多くの制度では施工業者が申請を代行します。ただし制度によって対応が異なるため、業者を選ぶ際に「申請サポートに対応しているか」を事前に確認しておくと安心です。

まとめ

この記事で解説した内容を整理します。

  • 補助金は「国の制度」と「市区町村の独自制度」の2種類。それぞれ対象・金額・条件が異なる
  • みらいエコ住宅2026は全世帯対象で最大100万円だが、断熱改修との組み合わせが必要で、対象住宅の条件もある
  • 介護保険住宅改修はバリアフリー目的の改修に特化。一生涯18万円が上限のため、使うタイミングを計画的に判断したい
  • さいたま市・川口市・川越市・熊谷市・越谷市・所沢市・上尾市など、市区町村ごとに活用できる独自制度がある
  • 受付期間が短い・予算切れになる制度も多いため、動き出しは早めが安心
  • 申請は工事着工前が原則。業者選びの段階から補助金対応の確認をしておくことが重要

補助金の活用は、制度の把握と計画のタイミングが鍵になります。どの制度が使えるか・申請はどう進めるかについては、補助金申請の実績がある施工業者に相談することで、スムーズに進めやすくなります。

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