近年、日本の住宅において、畳や和室のある間取りは減少傾向にあるようです。ライフスタイルの変化(欧米化)もあり、自宅の畳をフローリングに変えて使い勝手をよくしたいと考える人も多いのではないでしょうか。

和室の床を畳からフローリングにリフォームすると、家具の配置に自由度が増して空間を有効活用できます。また、自身や家族の高齢化対策としても有効で、工事内容によっては補助金利用で費用を抑えることも可能です。

畳からフローリングへのリフォームで後悔しないポイントは、自分に合った工法や床材の選択と費用相場の把握です。本記事では、6畳・8畳・10畳以上の畳数別費用相場や工期、注意点、DIYの可否や補助金情報、信頼できる業者選びのポイントまで詳しく紹介します。

最後まで読めば、ご自宅の状況と予算に合う工法・床材を具体的にイメージでき、見積もりで損をしないチェックポイントやトラブルを防ぐコツが分かります。畳からフローリングへのリフォームで後悔したくない方は、ぜひ参考にしてみてください。

畳からフローリングにする費用は2つの工法選びから

畳を持ち上げて撤去するリフォーム作業中の様子

畳からフローリングにするリフォームには、大きく分けて以下の2つの工法があります。それぞれに特徴があり費用も大きく異なるため、ご自宅の状況や予算に合わせて適切な工法を選ぶことが重要です。

  1. 張り替え工法
  2. 重ね張り工法


順番に解説します。

1.張り替え工法

張り替え工法とは、既存の畳をすべて撤去した上で新しいフローリングを張る工法です。最も一般的で確実な方法として、多くのリフォーム現場で採用されています。張り替え工法の最大のメリットは、下地の状態を直接確認できることです。

長年使用してきた畳の下は、湿気による腐食やカビ・シロアリ被害が発生している可能性があります。これらの問題を発見し適切に補修することで、フローリングの耐久性を高め、将来的なトラブルを防ぐことができます。

張り替え工法の【メリット】

①下地の状態を確認できるため、しっかりと補修できる(湿気による腐食・シロアリ被害・カビの発生など)
②畳とフローリングの厚みの違いによる段差を解消できる(バリアフリー化が可能/仕上がりも綺麗)
③下地を組み直すため、機能性を高められる(断熱材の追加・防音材の設置・床の補強など)

張り替え工法の【デメリット】

①重ね張りに比べて工事費用が高くなる(多くの工程が必要になり、撤去した畳の処理費用もかかる)
②工事期間が長くなる
③畳を撤去するため、保温性・防音性が低下する(断熱材・防音材の設置で対策可能)

2.重ね張り工法

重ね張り工法は、既存の畳の上に新しいフローリング材を張る工法です。工事期間が短く畳の処分が不要なためコスト削減が可能です。

畳を残すことで、断熱・防音効果が向上するというメリットもあります。階下への足音も軽減されるため、マンションなどの集合住宅では有効な選択肢となる場合があります。

重ね張り工法の【メリット】

①断熱・防音効果が向上する(床材が二重になるため)
②工事期間が短い(生活への影響が少ない)
③畳の処分が不要なためコストを抑えられる

重ね張り工法の【デメリット】

①床下の湿気・カビ・シロアリなどの問題に気づきにくい(下地の劣化が進行しやすい)
②畳とフローリングの間に湿気がこもりやすくカビ・ダニが発生しやすい
③隣接する部屋・廊下との間に段差が発生する(ドアの開閉やつまづきなどへの対策が必要)

畳からフローリングにする際の素材選び

和室をフローリングにリフォームした明るい室内の写真

フローリング材の選択は、リフォーム費用だけでなく住み心地やメンテナンス性、そして部屋の雰囲気にも大きく影響します。素材によって特徴や価格帯が大きく異なるため、ご自身のライフスタイルや予算、求める機能性に合わせて最適なものを選びましょう。

フローリング材は主に、以下の4種類に分類されます。

  1. 無垢フローリング
  2. 複合フローリング
  3. クッションフロア
  4. ウッドカーペット

それぞれの素材の特徴・メリット・デメリットを順番に詳しく解説します。素材選びに迷っている方は、ぜひ参考にしてください。

▶床材選びの参考にこちらの動画もぜひご覧ください:【YouTube】プロが選ぶ床材これ一択

無垢フローリング

無垢フローリングは、天然木を一枚板に加工したフローリング材です。木本来の質感や風合いを楽しめる高級素材として、こだわりの住まいづくりを目指す方に人気があります。

無垢フローリングの最大の魅力は、天然木ならではの温かみと高級感です。木目の美しさや経年変化による味わいの深まりは、無垢材ならではの特徴です。

無垢フローリング【メリット】

①調湿機能がある(室内の湿度を自然に調整してくれる)
②足触りが柔らかく、冬でも冷たさを感じにくい
③長期間使用できる耐久性の高さ

無垢フローリング【デメリット】

①高価なものが多い
②水や汚れに弱く、こまめなお手入れが必要
③傷がつきやすい

無垢フローリングは、天然素材の質感を重視し、長期的な視点でメンテナンスを楽しめる方に最適な選択肢です。リビングや寝室など、素足で過ごす時間が長い部屋に採用すると、その良さを実感できるでしょう。

複合フローリング

複合フローリングは、合板の基材の上に薄い天然木や木目調のシートを貼り合わせたフローリング材です。無垢材の質感を再現しながら、価格や機能性で優れたバランスを実現しており、用途に合わせたバリエーションを選びやすいです。  

複合フローリングは、表面材の種類によって大きく2つに分類されます。「挽板タイプ」は、2〜3㎜程度の天然木を使用しており、無垢材に近い質感が得られます。一方、「シートタイプ」は、木目をプリントしたシートを貼り付けたもので、より安価で耐久性に優れています。  

複合フローリング【メリット】

①コストパフォーマンスが高い(価格と品質のバランスがよい)
②デザインのバリエーションが豊富
③無垢材に比べて施工しやすい

複合フローリング【デメリット】

①無垢材に比べて質感が低い
②深い傷がつくと補修がむずかしい

複合フローリングは、コストパフォーマンスを重視し、メンテナンスの手間を減らしたい方に最適です。日常的に使う部屋や水回りに近い場所など、実用性を優先したい場所におすすめの選択肢と言えるでしょう。

クッションフロア

クッションフロアは、塩化ビニル素材で作られた柔らかい床材で、水や汚れに強く掃除しやすい特徴があります。  畳からフローリング風の見た目へ安く変えたい場合や、キッチンや洗面など水回りにも適した素材です。  

デザインのバリエーションも豊富で、様々な木目調や色合いから選べます。最近では、本物の木材と見分けがつきにくいほど精巧な柄の製品も登場しています。

クッションフロア【メリット】

①耐水性が高くお手入れが簡単
②クッション性があるため足への負担が少ない
③施工しやすく工期が短いため費用を抑えられる

クッションフロア【デメリット】

①耐久性が低い(重い家具を置くと跡がついたりへこんだりする)
②見た目の質感が低い

クッションフロアの最大の魅力は、圧倒的なコストパフォーマンスの高さです。無垢や複合材と比較すると半額程度の費用でフローリング風の床を実現できます。一方で、見た目や質感では大きく劣る印象は否めないため、高級感を求める方には不向きかもしれません。

ウッドカーペット

ウッドカーペットは、薄い木材を布製の裏地に貼り付けたカーペット状の床材です。畳の上に敷くだけで設置できるため専門業者に依頼する必要がなく、DIYで簡単にリフォームできます。賃貸住宅でも原状回復が容易なため、気軽に和室を洋室風に変更できます。

費用も材料費のみで済むため、予算が限られている方に最適です。また、使用しないときは丸めて収納できるため、必要に応じて敷いたり片付けたりできる柔軟性もあります。

ウッドカーペット【メリット】

①作業が簡単(DIYでできる)
②費用が少なくて済む(材料費のみ)

ウッドカーペット【デメリット】

①畳との間に湿気がこもりやすい(カビ・ダニの発生が心配)
②耐久性が低く、重い家具を置くことに不向き

ウッドカーペットは、あくまで一時的な解決策や、賃貸住宅での簡易的なリフォーム、試しにフローリング風の部屋にしてみたい場合などに適しています。本格的なリフォームを検討している場合は、他の選択肢を検討することをおすすめします。

【6畳・8畳・10畳】畳数別の費用相場と工期

畳が敷かれた明るい和室の室内写真

無垢フローリングは材料費が高く工期もやや長くなります。複合フローリングは価格と性能のバランスが良く、クッションフロアは最も低コストで短期間の施工がしやすい傾向です。​

畳からフローリングにするリフォームの素材による違いと、畳数別費用および工期の目安は以下の通りです。​

【6畳 張り替え工法】

素材費用相場工期
無垢フローリング約18~30万円約2~4日
複合フローリング約12~20万円約2~3日
クッションフロア約8~15万円約1~2日

​【8畳 張り替え工法】

素材費用相場工期
無垢フローリング約25~35万円約2~4日
複合フローリング約15~25万円約2~4日
クッションフロア約10~18万円約1~3日

【10畳 張り替え工法】

素材費用相場工期
無垢フローリング約30~40万円約3~5日
複合フローリング約20~36万円約3~5日
クッションフロア約15~25万円約2~4日

同じ畳数でも、下地補修の有無や防音材・断熱材の追加、壁や天井のリフォームを同時に行うかどうかで費用と工期は増減するため、実際の見積もりでは工事範囲を細かく確認する必要があります。

参考:フローリングの張替えについてはこちらの記事もぜひご覧ください。

畳からフローリングにする際の3つの注意点

畳からフローリングにリフォームする際の注意点やポイントを示すイメージ画像

畳からフローリングへのリフォームを行う際には、住宅のタイプや状態によって注意すべきポイントが異なります。ここでは、以下の3つの観点から注意点を詳しく解説します。

  1. マンションの場合の注意点
  2. 一戸建ての場合の注意点
  3. 下地の状態による追加費用

1.マンションの場合の注意点

マンションの場合は、階下への騒音対策として防音性の高いフローリング材を選ぶことが重要です。管理規約によって床の遮音等級が規定されていることが多いため、リフォーム前に必ず管理規約を確認し、管理組合の承認を得る必要があります。

最近のマンションでは、L-45以下の遮音等級をクリアしたフローリング材が一般的です。マンションで床のリフォームを行う場合は、規約に則った床材を使用する必要があるため十分な注意が必要です。

2.一戸建ての場合の注意点

一戸建ての場合は、床下に湿気による腐食やシロアリ被害がないか、しっかりチェックしましょう。築20年以上の住宅では、床下の状態が悪化している可能性があるため、張り替え工法を選択して徹底的に調査することをおすすめします。

また、フローリングは畳に比べて調湿機能が劣るため、床下の湿気対策が大変重要です。床下の湿気対策を放置すれば将来的な不具合のもとになる可能性があるので、必要に応じて適切な対策を行いましょう。

3.下地の状態による追加費用

畳を撤去した際、下地に問題が見つかることがあります。特に、湿気の多い地域や築年数の古い住宅では、腐食部分の交換やシロアリ駆除などの追加費用が発生する可能性があります。

下地の状態が悪い場合、最悪のケースでは当初の見積もりの1.5倍程度まで費用が膨らむこともあるため、予算には余裕を持っておくことが重要です。

下地の補修は、長期的に見れば必要な投資です。問題を先送りにすると将来さらに大規模な補修が必要になり、結果的に高額な費用がかかる可能性があります。

畳からフローリングにするリフォームはDIYでもできる

DIYリフォームを行う作業者と各種工具を描いたイラスト

畳からフローリングにするリフォームは、重ね張り工法であれば、DIYでの施工も不可能ではありません。また、ウッドカーペットなどは、部屋の大きさに合わせてカットするだけで、手軽に洋室の雰囲気へ変えられます。

しかし、張り替え工法は専門的な技術と道具が必要なため、DIYでの施工は推奨できません。畳の撤去・下地の調整・フローリング材の精密なカットなど、プロの技術と経験が求められる作業が多数あります。

費用を抑えたい気持ちは理解できますが、長期的な視点で考えるとプロに依頼する方が安心でしょう。

DIYでの床リフォームについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

畳からフローリングにするリフォームで利用可能な補助金

リフォームに利用できる補助金・助成金をイメージした模型

畳からフローリングへのリフォームで活用できる主な補助金制度をご紹介します。これらの制度を活用することで、リフォーム費用の負担を大幅に軽減できる可能性があります。

【介護保険住宅改修費支給制度】

要支援・要介護認定を受けている方が対象で、バリアフリー改修に最大20万円(自己負担1割の場合18万円支給)の補助があります。段差解消を目的とした畳からフローリングへの変更は対象となる可能性があります。申請は工事前に行う必要があり、ケアマネージャーや自治体の介護保険担当窓口に相談することから始めましょう。

【自治体の住宅リフォーム助成金】

多くの自治体で、独自の住宅リフォーム助成金制度を設けています。省エネ改修やバリアフリー改修と組み合わせることで、補助対象となることがあります。助成金の内容や条件は自治体によって大きく異なるため、お住まいの自治体のホームページや窓口で確認しましょう。

自治体独自の助成制度については、下記のサイトで検索できます。詳しくは、各自治体窓口でご確認ください。

▶地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト|一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会

さいたま市での補助金利用はこちらの記事もぜひご覧ください。

リフォームで後悔しないために|信頼できる業者選びのポイント

清潔感のあるリフォーム会社社員の笑顔の写真

畳からフローリングへのリフォームで後悔しないためには、信頼できる業者選びが重要です。以下の項目をしっかり確認し、納得した上で契約を結ぶことが、失敗しないリフォームの第一歩です。

実績と専門性を確認する

ホームページの施工事例や口コミを確認し、畳からフローリングへのリフォーム実績が豊富な業者を選びましょう。特に、ご自宅と同じタイプの住宅(マンションまたは一戸建て)での施工実績が多い業者を選ぶと安心です。

見積もりの内容を詳しくチェックする

見積書には、材料費・施工費・諸経費などが明確に記載されているか確認しましょう。「一式」という表記が多い見積もりは、後で追加費用が発生する可能性があるため注意が必要です。

優良業者であれば、使用する材料のメーカー名や品番・施工方法・工事日数なども詳しく記載されています。不明な点があれば、遠慮せずに質問しましょう。

コミュニケーションを重視する

信頼できる業者選びでは、以下のようなコミュニケーション面も重要な判断基準です。

  • 質問に丁寧に答えてくれる
  • 提案力がある
  • アフターフォローの体制が整っている
  • 専門用語を使わず分かりやすく説明してくれる
  • デメリットも含めて正直に話してくれる
  • 無理な営業をしない

契約前に確認すべき項目

  1. 工事内容の詳細(使用材料、施工方法、工事範囲)
  2. 総額費用と支払い条件
  3. 工事期間と作業時間帯
  4. 追加費用が発生する条件
  5. 保証内容と期間
  6. アフターメンテナンスの体制
  7. 緊急時の連絡先

よくある質問Q&A

Q&Aの文字が書かれた積み木の画像

畳からフローリングにするリフォームについて、多くの方が抱く疑問や質問にお答えします。

Q1. 畳からフローリングにリフォームする場合、畳の処分費用は別途必要ですか?

A. 畳からフローリングへ変える場合、多くの工事で畳撤去と処分費が発生します。  見積書には「畳撤去処分一式」や「1枚あたり〇円」と記載されるケースが多く、フローリング材費とは別項目になる例があります。  

Q2. 賃貸住宅でも畳からフローリングにできますか?

 A. 賃貸住宅の場合、原則として大家さんや管理会社の許可が必要です。ただし、ウッドカーペットやクッションフロアを敷くだけの方法であれば、原状回復が容易なため許可を得やすい場合があります。

Q3. ペットがいる家庭に適したフローリングはありますか?

A. ペット対応フローリングがおすすめです。傷がつきにくく滑りにくい加工が施されており、ペットの足腰への負担も軽減できます。また、消臭機能や抗菌機能がついた製品もあります。

まとめ

畳からフローリングへのリフォームは、住まいの快適性を大きく向上させる効果的な方法で、費用相場は工法や素材、部屋の広さによって大きく異なります。リフォームで後悔しないためには、ご自身のライフスタイル・予算・優先順位を明確にし、最適な工法と素材を選ぶことが重要です。

本記事でご紹介した内容を参考に、理想の住まいづくりを進めていただければ幸いです。畳からフローリングへの変更は、単なる床材の交換ではなく、生活スタイルそのものを変える大きな一歩となるでしょう。

株式会社ISMでは、フローリングのリフォームでも豊富な施工実績を誇ります。自社の熟練職人が丁寧に施工し、工事後も安心して長く暮らせる快適な住環境をご提供します。

畳からフローリングへのリフォームでお悩みの方は、ぜひお気軽に下のお問い合わせフォームよりご相談ください。

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