電気工事は、壁や天井の内側に手を入れるリフォームです。見えない部分だからこそ費用の根拠がつかみにくく、業者によって金額に差が出やすい特徴があります。そのため、相場を知らないまま契約すると「もっと安くできたかも」という後悔につながることもあります。

本記事では、「費用の目安がわからない」「見積もりが適正かどうか判断できない」という方のために、工事内容別の費用相場から、費用を抑えるコツ・追加費用が出やすいパターン・業者の選び方まで整理しました。

見積もりを依頼する前に全体像を把握しておくことが、納得のいく工事への近道です。ぜひ最後まで読んで、電気工事の判断軸を手に入れてください。

目次

リフォームで必要な電気工事の種類と費用相場

電気工事の内容は、「コンセントを1か所追加する」といった小規模なものから、「分電盤を交換してアンペア容量も変える」といった大がかりなものまで、幅広い種類があります。まずは工事の種類ごとに、一般的な費用相場を押さえておきましょう。

コンセント増設・移設にかかる費用相場

コンセントの増設・移設は、リフォーム時に最も依頼が多い電気工事のひとつです。費用の目安は以下のとおりです。

コンセント増設(新設):10,000円〜30,000円程度

  • 10,000円前後のケース: 既存コンセントの真裏(隣の部屋)への分岐や、1m以内の近距離分岐など、壁の隙間に配線が通る好条件。
  • 15,000円〜のケース: エアコン等の専用回路(単独線)を分電盤から引く場合や、壁内に線を通せずモール(露出配線)を用いる場合。

コンセント移設:8,000円〜20,000円程度

  • 既存の配線を延長して移動させます。移動距離や壁の構造により変動します。

アース付きへの交換:5,000円〜10,000円程度

既存の配線にアース線が来ているか、あるいは新規で引き込むかにより異なります。

費用に幅があるのは、壁の構造(木造・鉄骨造、下地の状況など)や、分電盤から配線を引く距離によって作業量が変わるためです。壁を開口して配線を通す場合は、別途、内装補修費用がかかることもあります。

照明器具の交換・増設にかかる費用相場

照明の交換やダウンライトの新設も、電気工事の範囲です。

  • 照明器具の交換(シーリングライト→シーリングライト):器具代込みで10,000円〜30,000円程度
  • ダウンライトへの交換・新設:1灯あたり8,000円〜20,000円程度(既存開口がある場合)
  • ダウンライトの新規増設(天井穴あけあり):1灯あたり15,000円〜30,000円程度

ダウンライトの後付けは、天井の構造や断熱材の有無によっても費用が変動します。以下の記事もあわせてご覧ください。

分電盤の交換・アンペア変更にかかる費用相場

分電盤(ブレーカーボックス)は、20〜30年を目安に交換時期を迎えます。築年数の長い住宅では、リフォームのタイミングで交換やアンペア変更が必要になるケースも珍しくありません。

  • 分電盤の交換(既存と同スペック):50,000円〜100,000円程度
  • アンペア変更(30A→60Aなど):工事費・電力会社対応込みで30,000円〜80,000円程度
  • 回路数の増加を伴う交換:100,000円〜200,000円程度

本体価格に加え、取り付け工事費・既存撤去費・電力会社への申請手続き費用なども含まれるため、費用の幅が広くなりやすい工事です。

エアコン専用回路の増設にかかる費用相場

新しいエアコンを設置する際、既存のコンセントを流用できない場合は専用回路の増設が必要になります。

  • エアコン専用回路の新設:20,000円〜50,000円程度(配線距離・設置場所による)
  • 200V対応回路への変更:30,000円〜60,000円程度

大型エアコン(200V対応機種)を導入するなら、既存の100V回路では対応できないため回路変更は必須です。設置当日に「工事ができない」と判明してからでは手遅れになることもあるため、事前確認が欠かせません。

IHクッキングヒーター対応工事の費用相場

ガスコンロからIHクッキングヒーターへ切り替える場合、200V専用回路の新設が欠かせません。

  • IH専用回路の新設(分電盤〜キッチンまでの配線):50,000円〜100,000円程度
  • コンセント設置・対応工事含む一式:80,000円〜150,000円程度

配線の距離が長くなりやすく、壁内や床下を通す場合は費用がさらに上がります。キッチンリフォームと同時に施工すれば内装の復旧費用を抑えられることが多いため、タイミングを合わせるのがベターです。

見積もり金額に差が出る理由は?電気工事の費用を左右する要素

コンセントを1か所増設する工事でも、施工業者によって数千円~数万円の差があることも。費用を左右する要素を理解しておくと、見積もりの妥当性を自分で判断できるようになります。

配線ルートの複雑さと工事の難易度

費用に最も大きく影響するのは、「配線をどう引き回すか」というルートの複雑さです。壁の中を通す場合、断熱材や構造材が障害になることがあり、分電盤から工事箇所までの距離が遠いほど配線量も増えます。

また、天井裏や床下を活用できる戸建て住宅と比べ、マンションは配線スペースが限られるため、同じ工事内容でも費用が割高になるケースがあります。

既存設備の状態と関連する追加工事の有無

築年数が経った建物では、壁を開けて初めて設備の状態が判明することがあります。たとえば古い布巻きケーブルが使われていた場合、安全面から全面的な引き直しが必要になることも。こうした想定外の工事が、追加費用の主な原因となります。

使用する設備・部材のグレードと性能

コンセント・照明器具・スイッチプレートなどの部材は、普及品から高品質品まで価格帯に幅があります。コンセント一つでも、標準品なら数百円程度ですが、USB付きやスマート対応品になると数千円単位の差が生まれます。施主支給か業者手配かによっても、総費用は変わります。

工事のタイミングと他のリフォームとの同時施工の有無

電気工事を単独で行うか、内装リフォームと同時に行うかでも費用は変わります。内装工事と並行して施工すれば、壁の開口・復旧を一度の工程にまとめられるため割安です。反対に、内装が完成した後から追加で電気工事を入れると、仕上がった壁を開け直す手間が発生し、費用が余分にかかります。

電気工事の費用を安く抑えるポイント

費用は工夫次第で、適正な範囲内に収めることができます。以下の4つのポイントを意識して進めましょう。

複数の工事をまとめて依頼し、諸経費を削減

電気工事には出張費や諸経費が含まれるため、1か所ずつ依頼するより、まとめて発注するほうが割安です。「将来もう1か所増やしたい」と考えているなら、後回しにせず最初にまとめて工事するほうがトータルの費用を抑えられます。

必要な工事をリストアップして、一括で依頼することを意識しましょう。

内装リフォームと同時施工

電気工事で費用がかさむ主な要因が、壁の開口・復旧にかかるコストです。内装リフォームと同時に施工すれば、配線作業をそのタイミングに組み込めます。壁を開ける工程が重なるぶん、内装補修費用の重複を抑えられるのが大きな利点です。キッチン・浴室・リビングのリフォームを検討しているなら、電気工事もセットで計画しましょう。

相見積もりで工事内容と価格のバランスを比較

適正な費用を把握するうえで、複数業者からの相見積もりは欠かせません。ただし、金額だけで選ぶのは禁物です。工事内容・使用部材・工期が同条件かを確認したうえで比較してください。極端に安い見積もりには、工事が省かれていたり低品質な部材が使われていたりするリスクが潜んでいます。価格と内容、両方の目で判断することが大切です。

補助金や助成金が使える省エネ設備への切替を検討

省エネリフォームには、国や自治体の補助金・助成金が適用されるケースがあります。制度をうまく活用できれば、リフォーム費用を数万〜数十万円単位で抑えることができます。

国の補助制度については、「みらいエコ住宅2026事業」において、省エネリフォームを対象に1戸あたり最大100万円の補助が受けられます。補助対象になるのは、高断熱窓の設置や、エコ住宅設備の設置も対象工事に含まれますので、併せて検討してみてください。

制度の内容は年度ごとに変わるため、最新情報は国土交通省やさいたま市の窓口等で確認してください。

国土交通省:みらいエコ住宅2026事業

リフォームの電気工事で追加費用が発生する4つの典型パターン

「見積もりより費用が増えた」というトラブルの多くは、工事中に想定外の問題が発覚することで起きます。よくある4つのパターンを事前に知っておくことで、心構えと予算の余裕をもって対応できます。

配線の劣化や容量不足が判明するケース

壁や天井を開けたところ、既存の配線が著しく劣化していたり、現在の電力使用量に対して容量が不足していることが判明するケースがあります。その場合、配線の引き直しや分電盤の容量アップが新たに必要となり、当初の見積もり額に追加費用が生じます。

配線ルートの変更が必要になるケース

壁の内部を確認すると、梁・金具・断熱材などの障害物があり、当初の配線ルートが通せないケースがあります。迂回ルートへの変更によって配線距離が伸び、材料費・工賃がともに増加します。鉄骨造の建物では配線スペースが限られているため、こうした変更が発生しやすい傾向があります。

部材の交換が追加で必要になるケース

工事中に周辺の設備を確認すると、スイッチボックスの劣化・コンセントボックスの破損・ブレーカーの異常など、放置できない状態が見つかることがあります。安全面から交換が必要と判断されると、追加工事が発生します。

見積もり段階では確認できなかった部分については、施工前に「発見した場合の対応と費用の目安」を確認しておくことで、後のトラブルを防ぎやすくなります。

内装の補修範囲が当初より広がるケース

配線工事のために壁や天井を開口した際、開口部の周辺でカビや腐食が見つかるケースがあります。処置と補修の範囲が当初の計画より広がれば、追加費用が生じます。

こうした状況でも、追加工事の実施前に必ず業者から説明を受け、費用の確認と承認を行うことが大切です。

電気工事の業者選びで失敗しないためのポイント

電気工事は、有資格者にしか行えない専門性の高い工事です。業者選びを誤ると、不適切な施工による火災・感電リスクや、仕上がりの品質問題につながることがあります。以下の3つのポイントで、信頼できる業者を見極めましょう。

電気工事士の資格を持つ業者か確認する

電気工事士法に基づき、コンセントや配線の工事は第一種または第二種電気工事士などの資格保有者しか行えません。無資格での施工は違法であり、配線ミスや接触不良による火災・感電事故のリスクを伴います。

業者に依頼する際は「有資格者が施工するか」を必ず確認し、可能であれば資格証の提示を求めましょう。加えて、電気工事業の登録・届出の有無も確認しておくと安心です。

見積書の内訳が明確で、説明が具体的か確認する

信頼できる業者は、「材工一式」のような曖昧な表記ではなく、工事の種別・使用部材・数量・単価が明示された内訳を提示します。口頭での説明も含め、「なぜその費用がかかるのか」を具体的に説明できる業者かどうかが、信頼性を見極めるカギになります。

内訳を明示しない業者や説明が曖昧な業者は、後から追加費用を請求するリスクが高い傾向があります。

業者選びのポイントについて詳しく知りたい方は、こちらの動画もご確認ください。

施工実績や口コミで電気工事の対応力を見極める

電気工事の経験が豊富な業者は、さまざまな建物の構造や状況に対応してきたノウハウを持っています。ウェブサイトや口コミサイトで施工事例・顧客レビューを確認し、「丁寧に対応してもらえたか」「追加費用が発生した際に事前説明があったか」という点に注目してみましょう。

電気工事に関するよくある質問

工期・停電時間はどれくらいかかりますか?

工事の規模によって異なりますが、コンセント増設や照明交換といった小規模な工事であれば、半日〜1日程度で完了するのが一般的です。分電盤の交換や複数回路の新設を伴う場合は、1〜2日かかることもあります。

停電が必要な時間は工事内容によりますが、目安としては1〜数時間程度です。作業前に業者から停電の時間帯・範囲について説明を受け、冷蔵庫や医療機器など停電への対応が必要な機器については事前に準備を整えておくと安心でしょう。

当日の立ち会いは必要ですか?

原則として、施工当日は立ち会いをお願いすることになります。工事の開始・完了時の確認や、工事中に判明した問題への対応判断を施主本人が行う必要があるためです。日中の外出が難しい場合は、事前に業者と対応方法を相談しておくことをおすすめします。

追加費用が発生するのはどんなときですか?

主に以下のようなケースで追加費用が生じやすくなります。

  • 壁・天井を開けて配線の劣化・損傷が発覚した場合
  • 想定より配線ルートが複雑・長くなった場合
  • 周辺の部材(コンセントボックス・ブレーカーなど)の交換が必要になった場合
  • 内装補修の範囲が拡大した場合

事前に「追加費用が発生し得る条件と費用の目安」を業者に確認し、書面で残しておくことがトラブル防止につながります。

電気工事はDIYで行えますか?

コンセントの増設・移設・交換などの電気工事は、電気工事士の資格がなければ行えません。無資格での施工は電気工事士法違反となるほか、誤った配線による火災・感電のリスクを伴うため、とても危険です。

電球の交換や照明カバーの取り外しなど、軽微な作業は問題ありませんが、壁の中に手を入れる配線作業についてはDIYは控え、必ず有資格の専門業者に依頼してください。

まとめ:電気工事の費用は工事内容と業者選びで大きく変わる

リフォームの電気工事にかかる費用は、工事の種類・規模・建物の状況・使用する部材のグレードなどによって幅があります。コンセント1か所の増設であれば数千円程度から対応できる一方、分電盤の交換や複数の回路新設を伴う場合は数十万円規模になることもあります。

費用を適正に抑えるには、複数の工事をまとめて依頼すること・内装リフォームと同時施工を計画すること・相見積もりで内容と価格を比較することが現実的な選択肢です。省エネ設備への切り替えに使える補助金・助成金も、ぜひ検討してみてください。

業者選びでは、電気工事士の資格保有・見積書の内訳の明確さ・施工実績の豊富さという3点が判断の基本です。追加費用が発生しやすいパターンを頭に入れておき、工事前に業者と認識をすり合わせておくことで、予算オーバーのリスクを大幅に下げられます。

費用の根拠を理解したうえで相談に臨むことが、後悔のないリフォームにつながります。まずは複数の業者に見積もりを依頼するところから始めてみてください。

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