空き巣などの被害は、本来あってはならないものです。しかし実際は、空き巣被害は続いており、対策をせざるを得ない状況です。
家という安全であるべき場所が脅かされると、安心して暮らすことはできませんよね。玄関ドアの防犯性を高めることは、空き巣対策に有効です。
そこで今回は、玄関からの空き巣を防ぐために今すぐ出来る対策を解説し、防犯性能の高いおすすめの玄関ドアをご紹介します。
目次
玄関ドアのリフォームで防犯性を高める必要性
空き巣などの侵入防止には、玄関ドアのリフォームが効果的だと言われています。
警察庁の「住まいる防犯110番」によると、侵入犯罪の件数は令和3年に戦後最少となったものの、以降は2年連続で増加していると発表されています。
このうち、戸建ての住宅が被害に遭う割合が最も多く、最近は宅配業者を装ったり窓ガラスを破損したりする悪質な手口も増えているようです。
戸建ての場合、侵入窃盗の侵入口として最も多いのは窓ですが、その次に多いのは玄関という結果が出ています。
つまり、玄関ドアの防犯性を高めることは、空き巣などの侵入を防ぐ上でも重要で、窓からの侵入対策とともに行えば家の安全性を高めることにつながります。
空き巣の玄関ドアからの侵入手口
玄関ドアから空き巣が侵入する手口について、代表的なものを見てみましょう。
・無締まり
最も多いのが、鍵のかけ忘れで軽々と侵入されてしまうケースです。出掛ける時に鍵をかけ忘れたり、近所に出掛けるだけだからと鍵をかけずに外出したり。鍵のかかっていない家は、何ら苦労することなく侵入されてしまいます。
・ガラス破り
玄関ドアのガラスの部分を割って侵入する手口です。ガラスを割る時に音がしますが、常に騒音がある環境ではその音もかき消されてしまうため、狙われやすくなります。
・ドア錠こじ破り
握り玉タイプのドアノブがついた玄関ドアは、バールなどを使って壊すことも難しくありません。シリンダー錠の構造がシンプルということもあり、強引に壊されれば侵入されてしまいます。
・ピッキング
鍵の差し込み穴に特殊な工具を差し込んで、解錠する手口です。ドラマなどで見たことがある方も多いでしょう。慣れた人なら、古い鍵を開けるのはそう難しくありません。1分も経たずに開けられてしまうこともあります。
・サムターン回し
室内側のドアに設置されている、つまみのことをサムターンといいます。室内から鍵を開け閉めするには便利ですが、郵便受け口やドアに開けた小さな穴などからこのサムターンを回されてしまう手口も珍しくありません。
・カム送り解錠
「バイパス解錠」ともいいます。シリンダーを浮かして、その隙間から工具を差し込んで解錠する手口です。特に古い玄関ドアが狙われやすいという特徴があります。見た目には分からない方法で、慣れた空き巣ならすぐに解錠できてしまいます。
防犯性能の高い玄関ドアは空き巣対策に効果が見込める
空き巣は、侵入までに5分以上経過すると、諦めて立ち去りやすくなると言われています。もし、玄関からの侵入を企んだ空き巣がいたとしても、簡単に侵入できないと判断されれば、被害を受けずに済むかもしれません。
先ほどご紹介したように、玄関からの侵入手口だけでも様々な方法があります。特に古い玄関ドアは、侵入しやすく狙われやすいと言えるでしょう。空き巣の被害に遭うリスクを抑えたい、新しい玄関ドアに替えたいと考えるのであれば、防犯性の高い玄関ドアを検討されることをおすすめします。
空き巣に狙われやすい玄関の特徴と今すぐできる対策

玄関からの空き巣の侵入の可能性をできる限り少なくしたい場合は、玄関ドアのリフォーム以外にもできることがたくさんあります。まずは、狙われやすい玄関の特徴を理解して、今すぐできる対策を行っていきましょう。
狙われやすい玄関ドアの特徴
空き巣に狙われやすい玄関ドアの特徴は以下のとおりです。
・鍵の閉め忘れが多い
・玄関前の見通しが悪い
・錠前が1ヵ所のみである
・錠前が古くてシンプルである
・ガードプレートがない
・窓ガラスが防犯仕様になっていない
・インターホンにモニターが付いていない
実は、空き巣の多くは実際に侵入する前に下見を行って、侵入しやすい家の目星をつけているケースが多いことをご存じですか?
玄関前の見通しが悪ければ、人目にさらされず犯行に及びやすくなり、施錠忘れが多発していると分かればタイミングを見計らって侵入できると思われてしまっても仕方がありません。
また、鍵をきちんとかける習慣があっても、古い玄関ドアで錠前が1ヵ所しかなかったり、シンプルなものだと分かれば、ピッキングがサムターン回しなどで侵入できると判断される可能性があります。
モニター付きインターホンは、空き巣対策とは無関係だと思われるかもしれません。しかし、実際はとても重要な役割を果たしています。空き巣の多くは、インターホンを鳴らして留守かどうかを確認する傾向にあります。自動録画ができるモニター付きインターホンなら、証拠を残すことにもつながるため、空き巣の方から逃げていく可能性が高いです。
玄関の防犯性を高めるためにできる対策
比較的お金をかけず、玄関の防犯性をできるだけ高めたい場合は、以下の方法を取り入れてみてはいかがでしょうか。
・玄関の見通しを改善する
庭木を剪定したり、物をできるだけ片付けたりして、道路や隣家からの見通しが良い状態にすると、泥棒が隠れにくくなります。
・玄関周辺を音の出る砂利敷きにする
玄関まわりを砂利敷きにして、歩く音が分かるようにしておくと、室内からでも気配に気付きやすくなるぶん泥棒も警戒して近寄りにくくなります。
・補助錠をつける
1つしか錠前がない場合は、補助錠を追加するという方法もあります。シリンダー錠だけでなく、最近は電子錠を追加するケースも増えているようです。
・ディンプルキーに交換する
補助錠をつけたとしても、ピッキングしやすい形状のものであれば、さほど効果は期待できないかもしれません。ピッキングしにくいディンプルキーに替えると、より防犯性を高めることができるでしょう。
・ガラスに防犯フィルムを貼る
玄関ドアに大きめのガラスがはめ込んである場合は、割られないように対策しておくのも重要です。防犯フィルムを貼っておくと、定期的なメンテナンスは必要ですが、ガラスを割られても貫通しません。
・サムターンカバーを取り付ける
サムターンカバーは、サムターン回し対策になります。賃貸住宅でも行いやすい対策ですので、玄関ドアの交換が難しい場合にも便利です。
・防犯アラームをつける
玄関ドアが開いてから閉まるまでの間にアラームが鳴るように設定すると、泥棒の侵入抑止になります。ガラスへの衝撃で鳴るものもあるため、ドアの特徴によって選ぶと良いでしょう。
空き巣を防ぐために玄関ドアリフォームがおすすめな理由

玄関ドアからの空き巣対策は、ドアそのものの防犯性を高めるのがベストです。なぜなら、鍵を交換したり玄関の環境を整えるだけでは、よくある侵入手口の一部は防げても、すべてに対応できるわけではないからです。
もちろん、玄関ドアをリフォームしても、窓ガラスなどその他の場所から侵入されるリスクはゼロではありません。家の防犯性を高めるためには、できる限り複数の対策を行い、備えることが大切です。
最新の防犯性の高い玄関ドアとは
最近の、防犯性を高めた玄関ドアには、以下のような特徴が見られることが多いです。
・破壊されにくいガラス
破壊しにくいガラスが使われていたり、破壊されたとしても腕を差し込めないようなデザインのものが多いです。
・着脱できるサムターン
取り外しができるサムターンです。もし、ドアやガラスを破って腕を差し入れたとしても、サムターンを回すことはできない仕様となっています。
・ディンプルキー(セキュリティキー)
複雑な構造をしている鍵のことを指します。ピッキングやカム送り解錠を防ぐことができます。
・鍵付きデッドボルト
扉と枠の間のかみ合わせを強めるアイテムです。無理矢理ドアをこじ開けようとしても、そう簡単には開けることができません。
・ダブルロック
2つの鍵でロックする仕組みです。製品によっては、1つめの解錠から50秒以内に2つめを開けないと、1つめが再びロックされるといった仕組みになっているものもあります。
玄関ドアが引き戸の場合の防犯性
玄関ドアには、開き戸と引き戸がありますが、引き戸は防犯性が低いと言われることもあります。
しかし、最近の玄関ドアは引き戸であっても防犯性を高めているものが多く、適切なものを選べば引き戸だからという理由で心配する必要は少なくなっています。
空き巣に狙われやすい引き戸とは、簡単に言えば古いタイプのものです。引き戸は、構造上、複数の戸板を使用しており、その重なりあう部分の隙間を利用して空き巣に入られてしまうリスクがあります。
玄関ドアリフォームの費用の目安と補助金

玄関ドアのリフォームの費用の目安や補助金について解説します。
玄関ドアリフォームの費用目安
玄関ドアのリフォームにかかる費用は、実際のところ玄関ドアそのものの価格に大きく左右されるため、費用相場が分かりにくくなっています。
一般的には、あくまでも目安ですが、30万円以内で済ませられる割合が最も多く、ついで30万円~50万円で行う割合も高くなっています。開き戸の場合、ドア本体の価格は片開きタイプが比較的リーズナブルで、両開きタイプになるとやや値が張る傾向にあります。
玄関ドアの価格帯の目安
シンプルな片開きタイプ | 10万円~20万円程度 |
断熱性能あり、通風機能付き、親子ドア等 | 30万円~40万円程度 |
両開きタイプ、高断熱、防火機能付き等 | 50万円程度 |
工事費用の目安
カバー工法 | 5~15万円程度 |
はつり工法 | 10~20万円程度 |
玄関ドアリフォームに使える補助金
玄関ドアのリフォームには、要件を満たすことで補助金が利用できる場合があります。補助金の種類はいくつかありますが、2025年6月現在で適用されている代表的なものは以下のとおりです。
対象となる工事の内容・条件 | 玄関ドアに関する補助 |
【必須工事】※2つ以上行うことが条件 ・開口部の断熱改修 ・躯体の断熱改修 ・エコ住宅設備の設置 | 玄関ドア交換 ①開戸1.8㎡以上・引戸3.0㎡以上:4.9万円 ②開戸1.0~1.8㎡・引戸1.0~3.0㎡:4.3万円 |
【任意工事】※必須工事と一緒に行う場合のみ対象 ・子育て対応改修 ・防災性向上改修 ・空気清浄機能、換気機能付きエアコンの設置 ・リフォーム瑕疵保険等への加入 | ①防犯性能の高い玄関ドアへ交換:3.8~5.3万円 ②防音性能の高い玄関ドアへ交換:3.2~3.6万円 ※両方満たしている場合は、①か②のどちらか高い方で補助される |
対象となる工事の内容・条件 | 玄関ドアに関する補助 |
カバー工法で断熱性の高い玄関ドアに交換する場合 | 戸建て・低層集合住宅の場合:5.8~22万円 中高層集合住宅の場合:6.2~26.6万円 |
はつり工法で断熱性の高い玄関ドアに交換する場合 | 戸建て・低層集合住宅の場合:4.6~18.3万円 中高層集合住宅の場合:6.2~26.6万円 |
対象となる工事の内容・条件 | 玄関ドアに関する補助 |
・玄関まわりの手すりの設置 ・段差の解消とスロープの設置 ・玄関ドアを引戸に変更 ※要支援または要介護の認定を受けた人のみ対象 | 20万円を上限とし、1割~3割の自己負担あり |
対象となる工事の内容・条件 | 玄関ドアに関する補助 |
一定の断熱性能基準を満たした玄関ドア製品への交換 | 上限5万円 |
これら以外にも、住宅リフォームの支援制度で補助金が使える場合があります。詳しくは、国土交通省のサイトも参考にしてみてください。
国土交通省 住宅リフォームの支援制度 ※令和7年6月2日時点
空き巣対策でよく選ばれている玄関ドア3選
ここからは、空き巣対策でよく選ばれている玄関ドアをご紹介します。
ドアリモ 玄関ドア D50断熱ドア

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YKK APが提供する玄関ドアです。既存のドア枠に新しい枠を取り付けて設置するため、壁に穴を開けず大がかりな工事も必要ありません。様々なシリーズがあり、D50断熱ドアはその名のとおり断熱性能が高い点も特徴。
スマートコントロールキーで、2つの鍵が付いています。1つめの鍵を開けて50秒以内に次の鍵を開けなければ、自動的に再ロックがかかる仕組みです。
LIXIL リシェント玄関ドア3

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壁を壊さず1日で設置できる玄関ドアです。ドアの鍵をかけたまま、網戸のついた防犯性の高い窓から風を入れることができます。断熱性能に優れており、夏は風を通して心地よく、冬は玄関からの冷気を防いでくれます。
電気錠でセキュリティを高め、鍵を携帯していればボタンをワンタッチするだけで解錠できるという利便性も。オートロック設定をしておくと、うっかり鍵を閉め忘れても安心です。
LIXIL 玄関引戸2

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引戸タイプの玄関ドアです。壁を壊さず1日で設置でき、断熱性能やバリエーションが豊富。2ロック仕様が標準装備されており、こじ破りにも強い造りとなっています。複製が難しいディンプルキーで、電気錠にも対応。
セキュリティサムターンで、万が一ガラスが破られてもサムターンを回せないようにすることができます。ガラスは、破壊されにくい安全な合わせガラスです。
玄関ドアリフォーム施工の流れ
玄関ドアリフォームは、どんなタイプのドアを選ぶかによって施工にかかる時間や流れが変わってきます。
先ほどご紹介した玄関ドア3つの場合、カバー工法で設置されるため、壁に穴を開けることはなく、既存のドア枠に新しい枠をかぶせて設置します。工事にかかる手間や時間が短縮できるぶん、費用は安くなるかもしれません。
カバー工法ではなく壁を壊して設置する場合、工務店等の専門業者に来てもらい、ドアの寸法や状態の確認後、予算内で相談しながらドアを選ぶのが通例です。見積もりをとったあと、契約をして、工事をしてもらいます。工事にかかる日数は、1日で終わることも多いですが、場合によっては数日かかることもあります。
まとめ
住まいの防犯性を高めることは、安心した暮らしに直結します。家族を守り、安全にくつろげる場所にするためには、玄関ドアの見直しをはじめ、様々な侵入経路・侵入手口に対処することが不可欠です。
空き巣の侵入経路として選ばれやすい玄関ドアの防犯性を高めることで、防げる被害があります。最近の玄関ドアは防犯だけでなく断熱など快適性を高められるものも多いため、古い玄関ドアで不安がある方はリフォームも検討してみてはいかがでしょうか。
