「リフォームで手すりを付ける費用はどのくらいかかるの?」「手すりの設置で補助金は受けられるの?」などと悩んでいませんか?
リフォームで手すりを設置する費用相場は階段で5~15万円、玄関で5万円前後です。DIYも可能ですが安全性を考慮するとリフォーム会社への依頼がおすすめです。
本記事では手すりの設置で得られるメリットから、補助金活用法まで詳しく解説します。
階段をはじめ玄関・廊下・トイレ・浴室に付ける際のポイントなど、家族が安心して暮らせる住まいを実現する方法を紹介しているので、これから手すりの取り付けを検討中の方はぜひ参考にしてみてください。
目次
リフォームで階段に手すりを設置すべき3つの理由とは?

日本国内で発生する事故は、その多くが「家庭内」で起きています。自宅は安心して過ごせる場所だと考えている方がほとんどですが、適切な対策を怠ると思わぬ事故を招く恐れがあります。
中でも階段は、住宅内事故全体の発生率でも上位に入るほどの、転倒・転落事故のリスクが高い場所です。
ここでは、リフォームで階段に手すりを設置すべき3つの理由について解説します。
- 転倒・転落事故の防止
- 高齢者や介護が必要な方への安全サポート
- 建築基準法による設置義務
転倒・転落事故の防止
階段での転倒・転落事故は、適切な手すりリフォームにより大幅に減少させることができます。階段を下る際は重心が前に移動するため足元が不安定になり、転落のリスクが高くなるのです。
手すりがあれば、階段を使う際に常に安定した支点を確保できるため、万が一バランスを崩しても体を支えることが可能です。夜間や雨の日など視界が悪い状況でも、手すりを頼りに安全に昇り降りできます。
階段の踏み外しなどによる転倒・転落事故は、誰にでも起こる可能性があります。階段への手すりの設置は家庭内の転倒・転落事故の防止に大変有効です。
高齢者や介護が必要な方への安全サポート
階段に手すりを設置するリフォームは、高齢者や介護が必要な方の動作補助に大変有効です。階段の昇り降りは介護が必要な方や、身体機能が低下している高齢者には足腰だけで体重を支えることが大きな負担になります。
手すりがあると、足腰に加えて腕の力も使えるので、階段の昇り降りが楽になり身体への負担が減少します。階段の昇り降りが自力で行えるようになれば、介護する方の負担軽減も可能です。
近年、高齢者の転落事故は増加傾向にあります。階段の踏み外しや、転落は骨折などの大けがになりやすく、最悪の場合命を落とす可能性もあるため、階段に手すりがない場合は早急に手すりの設置リフォームを検討しましょう。
建築基準法による設置義務
建築基準法施行令第25条では、住宅の階段には手すりの設置が義務付けられています。2000年6月1日の法改正により、従来の規定が強化され、最低でも片側への手すり設置が必要となりました。
法改正前は両側に壁があれば手すりは不要でしたが、現在では安全性確保の観点から設置が必要な設備です。
2000年以前に建築された住宅では、手すりが設置されていないケースも多く、リフォームを機に安全性を高める目的で、新たに手すりを取り付けることが推奨されています。
リフォームで階段に手すりを付ける際に知っておきたいこと

リフォームで階段に手すりを付ける際は、利用者の身体状況と住宅構造の両方を考慮して慎重に進めましょう。ここでは、階段に手すりを付ける際に知っておきたいことを3つお伝えします。
- 使う人に合わせて適切な高さに取り付ける
- 壁の強度と補強工事の必要性を確認する
- 階段のはじまりと終わりに手すりを延長する
順番に解説します。
使う人に合わせて適切な高さに取り付ける
手すりの高さは利用者の身長と握力に応じて、適切な高さに取り付けることが重要です。一般的には腕をまっすぐ下ろした際の、手首から床までの高さが推奨されており、床から75~80cm程度が目安です。
実際の設置では、主な利用者が階段で手すりを握った際の自然な腕の位置を確認し、無理のない姿勢で支えられる高さを選択しましょう。
壁の強度と補強工事の必要性を確認する
手すりを施工する壁の下地確認は、安全性確保に重要なポイントです。手すりは壁内部の柱など、丈夫な構造物に固定するのが大前提で、石膏ボードに壁紙クロスを貼ったような仕上げ材だけでは十分な強度が得られません。
下地の強度が不十分な場合は、補強板の設置や壁内部の補強工事が必要です。補強工事を実施する場合の施工費用は余分にかかりますが、長期的な安全性と耐久性のためには必要不可欠な工事です。
壁の強度の確認には、専門知識と専用の道具が必要なため、リフォーム会社に現地調査を依頼しましょう。
階段のはじまりと終わりに手すりを延長する
階段の手すりを、上下の踊り場まで少し延長して設置すると、安全性が向上します。
階段では、昇降時の最初の一歩はバランスを崩しやすく、階段のはじまりと終わりの場面で事故のリスクが高まります。
たとえば、階段のはじまりと終わりに2~3歩分手すりを延ばしておけば、踏み出す際や降りた直後も支点が得られるため、安全性の向上が可能です。
リフォームで手すり設置をDIYできる?

階段の手すりリフォームはDIYで実施可能ですが、壁の下地確認や適切な固定方法の判断には専門知識が必要です。
費用が抑えられても、安全性に不安が残るリフォームはおすすめできません。設置ミスによる事故のリスクを考慮すると慎重な判断が求められます。
DIYで手すりリフォームを行う際のメリット・デメリットを以下で解説しているので、検討する参考にしてください。
DIYのメリット
階段の手すりリフォームをDIYで行うメリットは、専門業者に支払う工事費の負担がないことです。基本的には材料費のみで取り付けられるため費用を抑えることができます。
ホームセンターや通販でも材料は購入できるため、ある程度の専門知識と道具があれば、専門業者に依頼するよりも少ない費用負担でリフォームできる可能性があります。
DIYのデメリット
階段の手すりをDIYで取り付けるデメリットは、安全性が担保できないことです。安全・確実に取り付けられる自信がなければDIYは避けた方が無難です。
第一に、手すりを安全に取り付けるには、壁の下地構造を正確に把握する必要があります。たとえ壁の内部構造を把握できても、取付位置に合わせて正確に設置するのは、素人には難しい作業といえます。
ある程度のスキルと必要最低限の道具があれば、手すりの取り付け自体は可能です。しかし、正しく設置できなければ、壁が重みに耐えきれず重大な事故につながることになります。
専門的な技術や道具を持たない場合、安全性に疑問が残るうえに、それほど大きな費用対効果は期待できないこともあります。
ご自身の力量や、ご自宅の状況などを考慮し、DIYの可否を冷静に判断することが重要です。
リフォーム会社への依頼がおすすめ
階段手すりの施工は、信頼できるリフォーム会社に依頼するのが最も安心です。なぜなら、階段手すりは身体を支える重要な設備であり、体重をかけても安全な強度が求められるためです。
専門のリフォーム会社なら、壁の内部構造をしっかりと見極めたうえで、適切な施工技術に基づいた手すりの設置が可能です。
さらに、施工後の保証期間やアフターサービスが整っている会社も多く、万が一の不具合にも迅速に対応してくれます。
まずは信頼できるリフォーム会社に相談し、現地調査と見積もりの依頼をしましょう。
費用面だけでなくリフォーム後のサポート体制も含めて、安心して任せられるリフォーム会社を選ぶことが大切です。
リフォームで手すりを取り付けられる場所と目的

手すりの設置は、転倒リスクが高い場所の安全性を高める重要な改修工事です。
玄関・廊下・トイレ・浴室の4箇所は日常生活で頻繁に利用する場所であり、実際に多くの家庭内事故が発生しています。
階段と合わせてこれらの場所への手すり設置は、住宅全体の安全性向上に重要な役割を果たします。
玄関|上がりかまちの昇降サポート
玄関の上がりかまちは階段と並んで段差が大きい場所のため、手すりの設置は昇降時の転倒事故防止に効果的です。
玄関では靴の着脱時にバランスを崩しやすく、特に外出から帰宅した際の疲労状態では足元が不安定になりがちです。
玄関にたて型手すりを設置すれば、上がりかまちでの昇降動作が安定し、靴の着脱が安全に行えます。
据え置きタイプなら工事不要で簡単に設置できるため、賃貸住宅でも利用可能です。
廊下|歩行補助・移動動線の確保
廊下への手すりの施工は歩行時の安定性の確保と、住宅内を自立して移動するために重要な安全対策です。
夜間のトイレ移動や長い廊下での歩行時に、壁沿いの手すりが頼りになる支えとして機能します。
連続した水平手すりの設置により、歩行リズムが安定し、疲労時や体調不良時の移動が楽になります。
特に高齢者や歩行に不安がある方にとって、廊下の手すりは住宅内での自立した移動を支える重要な設備です。
トイレ|立ち座り動作の補助
トイレでの立ち座り動作は膝や腰への負担が大きいため、適切な手すりを施工すれば動作時の身体への負担を軽くできます。
便座からの立ち上がりや座る際には、手すりが安定した支点として機能するため、転倒リスクの軽減が可能です。
トイレは日常生活に欠かせない大切な場所であり、居室とは異なる特殊な空間でもあります。
トイレには、利用者に合わせた適切な手すりを設置して、介護が必要なご家族が安全・快適に過ごせる環境に整えることが重要です。
また、掃除のしやすさや動きやすさなど、介護する側も使いやすい内容でリフォームを実施すれば、家族全体の日常生活の質を向上させることができます。
下の動画では、手すりも含めたトイレ全体のリフォーム事例を紹介しています。施主様の生の声も収録されている貴重な映像です。ぜひご覧ください!

浴室|滑りやすい環境での安全確保
浴室は水や石鹸により床が滑りやすいため、手すりの設置は入浴時の転倒事故防止に効果的です。
浴槽への出入りや洗い場での立ち座り動作時には、手すりが安定した支えとして重要な役割を果たします。
バランス感覚や足腰の筋力が衰えた高齢者にとって、脱衣所から浴室への移動や、一時的に片足立ちになる、浴槽への出入りなどは入浴時のリスクが高まる場面です。
入浴時に想定される導線上に適切な手すりを設置すれば、大幅に安全性が高まります。
手すりの設置も含めた浴室リフォームの参考にこちらの記事もご覧ください!
リフォームで付ける手すりの選び方

リフォームで手すりを選ぶ際は、設置場所や使用者の身体状況に応じて、形状・材質・設置方法・色の4つの要素を総合的に比較検討することが大切です。安全性はもちろん、使いやすさや空間との調和も意識しましょう。
下表では、それぞれの選択基準と特徴をまとめています。
また、手すりを選ぶ際は上記の要素に加え、「色」の選び方にも注意が必要です。
手すりの色は壁・床・周囲の環境とのコントラストを重視し、視認性を確保すると安全性が高まります。
特に白内障で視界が白く濁る場合、白い壁に白い手すりの組み合わせは、手すりと背景が同化しやすく、手すりのつかみ損ねにつながる危険があります。
厚生労働省のデータでは、60代で66~83%・70代で84~97%の方が白内障を発症するとされており、手すりの色の選択は大変重要です。
白い壁には黒や茶色の手すりなど、手すりの存在を認識しやすい色の組み合わせを選べば、夜間の移動でも手すりの位置を素早く把握できます。
形状・材質・設置方法 | 特徴・メリット |
丸棒タイプ | ・握りやすく手に馴染みやすい形状で一般的に使われる ・階段・廊下など日常的に使用する場所に適しています |
スクエアタイプ | ・角ばった形状でしっかり握れるが手当たりが硬め ・デザイン性を重視する場所に適しています |
木製 | ・自然な風合いと温かみが室内の雰囲気に馴染みやすい ・居住空間・和室・リビング周辺に適しています |
ステンレス製 | ・耐久性が高く錆びにくいため長期使用に適している ・浴室・屋外・湿気の多い場所に適しています |
アルミ製 | ・軽量で腐食に強くメンテナンスが簡単 ・屋外・ベランダ・玄関周辺に適しています |
壁付けタイプ | ・壁に直接固定するため安定性が高い ・階段・廊下の壁面がある場所に適しています |
据え置きタイプ | ・床に設置するため壁工事が不要 ・賃貸住宅・工事を避けたい場所に適しています |
手すりを選ぶ際は、設置場所の環境や利用者の身体状況・使用頻度を考慮しましょう。
たとえば、浴室での手すりの用途は、段差の昇降やまたぐ動作に使うことが多いです。
手すりの上を滑らせるよりも、手すりを握って体重を支える動作が主になるので、細めで握りやすく、滑り止め加工を施したものがおすすめです。
一方で、廊下などでは横方向に手を滑らせる使い方が多いので、安定感のある太めのものが適しています。
いずれにしても、手の大きさや握力などは千差万別のため、利用者の身体状況に合わせて適切な手すりを選びましょう。
さいたま市|手すり設置の費用相場 【リフォーム場所別】

リフォームで手すりを施工する際の費用相場は、設置する場所や手すりの種類によって価格差があります。
取り付ける壁の強度や構造が手すりの設置に適さない場合は、壁の補強工事が必要になるなど、追加料金が発生するケースがあります。
ここでは、階段の種類別・階段以外に設置する場合の、場所ごとの費用相場を標準的な工事内容をもとにまとめています。
ご自宅に合わせた、正確な費用は専門業者に現地調査を依頼して見積もりを取りましょう。
階段手すり【5~15万円】
階段のリフォームでは、階段の種類が直階段・L字型階段・U字型階段の3つがあり、工事内容や材料が異なるため価格差が生じます。
階段の種類ごとの手すり設置費用の相場は下表のとおりです。
階段の形状 | 費用相場 | 特徴 |
直階段 | 5~10万円 | 最もシンプルな構造で施工が容易 |
L字型階段 | 8~15万円 | 角部分の処理が必要なため施工費用は若干高め |
U字型階段 | 10~15万円 | 最も複雑な構造で施工費用が高めになる |
玄関・廊下・トイレ・浴室【1~10万円】
玄関・廊下・トイレ・浴室に手すりリフォームを行う際の費用相場は下表のとおりです。
リフォーム場所 | 費用相場 | 特徴 |
玄関 | 1~5万円程度 | 段差昇降のサポートに最適 |
廊下 | 3~10万円程度 | 歩行補助と移動動線の確保に重要 |
トイレ | 3~10万円程度 | 立ち座り動作の補助に効果的 |
浴室 | 3~7万円程度 | 滑りやすい環境での安全確保に必要 |
【2025年版】リフォームで手すりを設置する際に使える補助金・助成金の最新情報

手すりの設置を伴うリフォームでは、介護保険制度と自治体独自の助成制度を活用できる可能性があります。適用条件や申請方法などは制度ごとに異なりますので、それぞれの内容をよく理解して適切に活用しましょう。
介護保険の「住宅改修費支給」
介護保険の「住宅改修費支給」は、要支援・要介護認定を受けた方が、自宅での生活を安全・快適に過ごすために行う小規模な改修を対象に、改修費用の一部が支給される制度です。
支給対象には、手すり設置・段差の解消・床の滑り防止工事などが含まれます。支給金額は、20万円が上限で原則1人1回のみ利用可能です。
ただし例外として、20万円の上限内であれば、複数回に分けて利用することもできます。利用者の所得に応じて1割~3割の自己負担が必要ですが、実質的な負担額を大幅に抑えられます。
手すり設置工事などの住宅改修を行う際は、担当ケアマネージャーに相談の上、工事についての事前申請が必須です。
事前申請をせずに工事を行った場合は、介護保険の支給対象にならないので注意が必要です。
自治体独自の助成制度【さいたま市】
自治体独自の助成制度では、介護保険対象外の世帯に対して手すり設置費用の一部を補助しています。
各自治体により助成金額や対象条件が異なりますので、詳細は各自治体の公式ホームページ等で必ず確認してください。
さいたま市では「介護予防高齢者住環境改善支援事業」により、リフォーム費用の補助を行っています。
高齢者が、自宅において転倒等により要支援・要介護状態になるのを防ぐ目的で行う、住宅改修に対して経費の補助が受けられます。
さいたま市の補助金については下記の公式ホームページを参照してください。
▶さいたま市よくある質問>要介護・要支援者が住宅改修を行う際の介護給付について知りたい
さいたま市のリフォーム補助金の詳細はこちらの記事もご覧ください!
よくある質問と回答

Q1.高齢の両親のためにリフォームで手すりを付けたいのですが、どこに付けるといいですか?
A.ご両親の身体機能の状態にもよりますが、最低でも廊下・トイレ・浴室・玄関には取付けした方がいいでしょう。玄関口に2~3段でも階段があるなら、そちらにも取り付けることをおすすめします。
Q2.リフォームで手すりを付ける場合、ホームセンターで買ってきたものでもいいですか?
A.はい、基本的には問題ありません。ただし、取り付け工事には専門知識や経験が必要ですので、自分でDIYすることは避け、信頼できるリフォーム会社に依頼しましょう。
Q3.手すりの補助金は誰が申請するのですか?
A.介護保険の給付金の申請には、担当ケアマネージャーへの事前相談が必要なので、基本的にご自身で申請することになります。
まとめ
住宅への手すりの施工は、転倒・転落事故の防止と家族の安心のために大切な安全対策です。
階段をはじめ、玄関・廊下・トイレ・浴室への適切な手すりの設置により、高齢者や身体機能に不安がある方の自立した生活を支援できます。
手すり設置のリフォーム成功のためには、建築基準法による設置義務を満たしながら、利用者の身体状況に応じた高さ・材質・色の選択が重要です。
介護保険制度や自治体の助成制度を活用すれば、費用負担を軽減できます。
リフォームで手すりの設置を検討される際は、住宅の構造確認から設置後のメンテナンスまで、専門的な知識と技術を持ったリフォーム会社への依頼がおすすめです。
豊富な施工実績と確かな技術力を持つISMなら、建築基準法への適合確認から補助金申請のサポートまで、安心してお任せいただけます。
ISMは、さいたま市のほか、埼玉県・東京都・千葉県・神奈川県でも豊富なリフォーム実績がございます。
リフォームをお考えの方は、下のお問い合わせフォームからお気軽にご相談ください!
