在宅ワークの普及や家族構成の変化により、「ベランダを書斎や収納スペースに変えて有効活用したい」というニーズが高まっています。
この記事では、ベランダを部屋にするリフォームの費用相場から施工手順、失敗しないための注意点まで詳しく解説します。また、業者選びのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
ベランダを部屋にするリフォームのメリット・デメリット

ベランダを部屋にする前に、まずはメリットとデメリットを正確に理解しておくことが大切です。
ベランダを部屋にする3つのメリット
1.居住スペースの拡大
ベランダを居室化することで、既存の住空間を物理的に広げられます。4畳のベランダであれば、小さな書斎や趣味部屋として十分な広さ。リビングと一体化させれば、開放感のある広々とした空間に生まれ変わります。
2.用途の多様化(書斎・収納・趣味部屋など)
在宅ワーク用の個室、季節用品の収納スペース、ヨガや筋トレのためのフィットネスルームなど、家族のライフスタイルに合わせた多目的な空間として活用が可能です。特に部屋数を増やすことが難しい場合、既存スペースの有効活用は大きな価値があります。
3.断熱性・防音性の向上
適切な断熱材と二重サッシを使用すれば、夏の暑さや冬の寒さを軽減できます。光熱費の削減が期待できるほか、外部からの騒音も遮断されるため、静かな環境で作業や休息が叶うでしょう。
ベランダを部屋にする3つのデメリット
1.洗濯物干し場として活用できなくなる
ベランダを部屋にすると、日常的に使っていた洗濯物干し場がなくなります。室内干しスペースの確保や浴室乾燥機の設置など、代替案を検討する必要があります。
2.外観デザインが単調になる
一戸建て住宅の外観は、凹凸をうまく活用することで表情豊かに見えます。ベランダは「物干し」としての実用性だけでなく、建物に陰影や立体感を生み出す意匠的な役割も担っているのです。
そのため、ベランダをなくすとのっぺりした印象になりがち。ベランダの無い家は壁材の質感、窓の配置バランス、屋根の形状などで変化をつける工夫が大切です。
3.マンションの場合の共用部問題
多くのマンションではベランダが「専用使用権のある共用部分」として扱われています。管理規約で改修が禁止されているケースも多く、無断でリフォームすると撤去を命じられる可能性があるため注意が必要です。
ベランダを部屋にできる人・できない人の判断基準
すべてのベランダが部屋にできるわけではありません。法的制約や構造上の問題により、実現できないケースも存在します。
戸建てでベランダを部屋にできる条件
戸建てでベランダを部屋にするには、建ぺい率・容積率に余裕があることが前提。建ぺい率とは敷地面積に対する建築面積の割合、容積率とは敷地面積に対する延べ床面積の割合を指します。ベランダを居室化すると床面積として算入されるため、これらの基準を超えないか把握しておきましょう。
また、構造上の補強が可能であることも重要なポイント。ベランダの床は人が常時滞在することを想定していない場合があり、耐荷重のチェックと必要に応じた補強工事が求められます。
避難経路を別途確保できることも必須条件。2階以上のベランダを部屋にする場合、火災時の避難ルートとして階段や別の窓からの脱出経路が確保されていなければなりません。
マンションでベランダを部屋にできる条件
多くのマンションでベランダは「共用部分」扱いで、区分所有者に与えられているのは「専用使用権」のみ。所有権ではないため、原則として構造を変える改修は認められません。残念ながら持ち家であっても基本的にはリノベーションできる可能性は低いといえます。
仮に改修の余地があったとしても、管理規約で許可されていること、理事会の承認が得られること、避難経路を損なわないこと、外観の統一性を保てることなど、複数の条件をクリアする必要があります。
管理組合への事前相談では、工事内容の詳細、工期、近隣への配慮方法などを説明し、書面で承認を得なければなりません。
ベランダを部屋にできないケース
避難経路が確保できない・・・消防法により、一定の避難経路確保が義務付けられているため。
建ぺい率・容積率オーバー・・・基準ギリギリまで建築されている場合、これ以上の床面積増加は認められないため。
事前に確認すべき重要事項
マンションの場合、管理規約は管理組合や管理会社から取り寄せて調べます。特にベランダに関する記載、共用部分の定義、改修工事の承認手続きについて詳細に把握してください。
建築士による現地調査は欠かせません。構造の安全性、法的制約、最適な施工方法などを専門家に判断してもらうことで、後々のトラブルを防げます。
ベランダを部屋にするリフォームの種類と費用相場

ベランダの居室化には複数の方法があり、それぞれ費用と仕上がりが異なります。目的と予算に応じて選択しましょう。
サンルーム(ガラス張り)にする特徴と費用
費用目安:50万円〜150万円
サンルームは既存のベランダにガラス製の囲いを設置する方法。比較的低コストで実現でき、採光性に優れているため明るい空間を作れます。洗濯物の室内干しスペースや観葉植物を置く温室として活用できるでしょう。
ただし、断熱性能は完全な居室には劣るため、真夏や真冬は温度管理が難しくなります。エアコンを設置しても効率が悪く、光熱費がかさむ可能性がある点に注意が必要。
完全な居室(壁・床・天井の施工)にする特徴と費用
費用目安:100万円〜300万円
断熱材入りの壁、床材の張り替え、天井の施工、電気配線工事などを含む本格的な改修となります。既存の部屋と同等の快適性を実現でき、書斎や寝室としても使用可能。防水工事や構造補強も必要になるため費用は高額ですが、資産価値の向上にもつながります。
インナーバルコニーにする特徴と費用
費用目安:80万円〜200万円
屋根と壁の一部を設置し、半屋外空間として活用する方法。完全に閉鎖せず開口部を残すことで通風を確保しつつ、雨風を防げます。趣味のガーデニングスペースやペットの遊び場として最適でしょう。
建築基準法上の床面積に算入されない場合があり、建ぺい率・容積率の制約を受けにくいメリットがあります。ただし、詳細は自治体によって判断が異なるため事前の問い合わせが欠かせません。
費用を左右する要素
面積・階数
リフォーム面積が広いほど、また高層階ほど費用は高くなります。2階建ての2階部分と10階建ての10階では、資材の搬入コストや足場設置費用が大きく異なるのです。
既存の状態(屋根の有無など)
すでに屋根が設置されているベランダは、新たに屋根を作るより低コスト。防水処理の状態が良好であれば、大規模な補修が不要になります。
使用する建材のグレード
サッシの種類(樹脂製・アルミ製・木製)、断熱材の性能、床材の質などによって費用は大きく変動します。長期的な快適性を考えると、坪単価15万円以上の投資は視野に入れておきたいところです。
ベランダを部屋にする際の注意点
法的規制や税金への影響など、見落としがちな注意点を解説します。
建築確認申請が必要になるケース
ベランダを居室化して床面積が増加する場合、建築確認申請が必要になることがあります。10㎡を超える増築の場合は原則として申請が必須。ただし、防火地域・準防火地域では10㎡以下でも申請が求められるため注意しましょう。
各自治体で基準が異なるため、事前に市役所の窓口に問い合わせてください。
さいたま市の建築確認に関する情報は、さいたま市公式サイトから確認できます。
床面積に算入されるか否かの判断は、壁や屋根の構造、開口部の有無などによって決まるため、専門家の判断を仰ぐことをおすすめします。
戸建てとマンションで異なる規制
戸建て:建ぺい率・容積率の確認
既存の建物がこれらの基準をどの程度使用しているか調べ、増築可能な範囲を把握しましょう。基準をオーバーしてしまうと、是正命令が出される可能性があります。
マンション:管理規約・共用部分の扱い
管理規約でベランダが共用部分と定義されている場合、原則として改修不可。専有部分であっても、外観の統一性を損なう改修は認められないケースがあります。
固定資産税への影響
ベランダを居室化すると、床面積の増加により固定資産税が上がる可能性があります。課税対象となるのは、三方以上が壁で囲まれ、屋根があり、居住・作業・貯蔵などの用途に供する空間となっています。
ベランダを部屋にするリフォームの流れ

実際の施工はどのように進むのか、工程を理解しておきましょう。
リフォーム前の準備と調査
現地調査では構造の安全性、既存の防水状態、電気配線の引き込み可能性などをチェック。建築士や施工業者が実際に現場を見て、最適な施工プランを提案してくれます。
必要な申請・届出としては、建築確認申請、マンションの場合は管理組合への届出、近隣への工事説明などがあります。これらを漏れなく実施することで、後々のトラブルを防げるでしょう。
実際の施工ステップ
既存部分の撤去・補強
手すりや既存の床材を撤去し、構造体を露出させます。必要に応じて柱や梁の補強工事を実施。
窓枠・サッシの設置
外壁との接続部分に窓枠を設置し、断熱性能の高いサッシを取り付けます。この段階で防水処理を確実に行うことが成功の鍵。
内装・電気工事
断熱材を充填し、壁材・床材を施工します。コンセントや照明器具の配線工事も同時に進め、仕上げとしてクロス貼りや塗装を行います。
工期の目安
一般的な工期:2週間〜1ヶ月
サンルーム程度であれば2週間、完全な居室化であれば1ヶ月程度が標準的。天候や追加工事の発生により延長される場合もあります。
ベランダリフォームの失敗事例と対策

実際に起きたトラブル事例から学び、同じ失敗を避けましょう。
雨漏りが発生する原因と対策
施工業者の技術不足により、既存の防水層を適切に処理せず新しい床を施工すると、わずかな隙間から雨水が浸入してしまいます。対策としては、実績豊富な業者を選ぶこと、JIS規格に準拠した防水処理を施すこと、年1回以上のメンテナンスを実施することが欠かせません。保証期間や保証内容を契約時に明確にしておきましょう。
結露・カビが発生する原因と対策
断熱不足により、冬場に室内外の温度差で結露が発生します。結露を放置するとカビが繁殖し、健康被害につながるため注意が必要。
対策として、厚さ100mm以上のグラスウールなど適切な断熱材を選定し、壁・床・天井すべてに施工することが大切です。また、適切な換気設備がないと湿気がこもってしまうため、換気扇の設置も検討してください。
管理規約違反で撤去を求められるケース
事前承認なしでの施工は、マンションで最も多いトラブルといえます。共用部分の無断改修や避難経路の閉塞は重大な違反行為になります。
失敗を防ぐには、リフォーム計画段階で管理組合に相談し、書面での承認を得ることが絶対条件。承認手続きには1〜3ヶ月かかる場合もあるため、余裕を持ったスケジュールを組んでください。
失敗を防ぐための事前チェックリスト
施工前の確認項目として、管理規約の内容、建築確認申請の要否、構造の安全性、防水・断熱計画、換気計画、避難経路の確保などをチェックしましょう。
業者選定時は、建築士の在籍状況、過去の施工実績、アフターフォロー体制を重点的に見極めます。
契約書では保証期間(最低5年以上が望ましい)、保証範囲(雨漏り・結露など)、追加費用発生の条件を明確にしておきましょう。
ベランダリフォームで失敗しないための業者選びのポイント

適切な業者選びが成功の鍵を握ります。業者選びのポイントを事前に理解しておきましょう。
信頼できるリフォーム業者の見極め方
建築士が在籍している業者は、法的制約や構造上の問題を適切に判断可能。一級建築士または二級建築士の資格保有者がいるか調べてください。
ベランダ改修の施工実績が豊富な業者を選びましょう。過去の施工写真や顧客の声を見せてもらい、同様の工事経験があるか確認する方法がおすすめです。
また、アフターフォロー体制も重要です。施工後のメンテナンスや不具合発生時の対応について、事前に確認しておきましょう。
見積もり時に必ず確認すべき項目
まずはサポート範囲を把握します。建築確認申請の代行、管理組合への説明同行など、どこまで対応してくれるか明確にしてください。
保証期間と保証内容はとても重要です。雨漏り、結露、構造的な不具合などについて、何年間どのような保証があるのか書面でチェックしましょう。
追加費用発生の可能性についても事前把握が欠かせません。想定外の補強工事が必要になった場合の対応や費用負担について、契約前に取り決めておきましょう。
複数社相見積もりの取り方
2~3社から見積もりを取ることをおすすめします。安すぎる見積もりには注意が必要。適正価格より大幅に安い場合、手抜き工事や後からの追加請求のリスクがあります。極端に高い見積もりも、不要な工事が含まれている可能性があるので注意しましょう。
契約前にチェックすべき書類
契約書には工事内容、金額、支払い条件、工期、保証内容、追加費用の取り扱いなどが明記されているか確認しましょう。また、工程表に各工程の開始日と完了予定日などの詳細が明記され、現実的なスケジュールになっているか把握してください。
その他のリフォーム方法で部屋を増やすアイデアについては、こちらのリンクの記事もご参考ください。
まとめ
ベランダを部屋にするリフォームは、長期的に見ても生活の質を大きく向上できるメリットがあります。また、リフォームの費用相場は50万円から300万円と幅広く、施工方法によって大きく異なるのが特長です。
失敗を防ぐには、実績豊富な業者を選び、JIS規格に準拠した防水・断熱処理を施し、法的手続きを確実に行うことが大切。信頼できるリフォーム業者に相談し、現地調査と詳細な見積もりを取ることから始めてください。適切な計画と施工により、快適で価値ある空間を実現できるでしょう。
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